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千変万化  作者: 津浦あゆ
6/10

6・変な生き物

第一話の前書きを前提として読み進め下さい。

 

 ぼくがちらと見た、窓の外。


 そこにもう、日本はなかった。



 ぐちゃぐちゃにされたコンクリートブロック。遠くの方に上がる煙。なぎ倒された常緑樹。亀裂がどこまでもどこまでも続いているアスファルト。上に広がる爽やかな空。

電柱も、電線も、高層ビルもなにもない澄んだ空。


あちらこちらであがる悲鳴。車のクラクション。子供の泣き声。 鳥の羽音。足音。銃声。


そして、


なんだ、あれは。


それは限りなく半透明で、限りなく不格好で、限りなく不気味な、、、、生き物?


倒れている馴染みの桜の木を基準にしてみると、きっとぼくの腰にも満たない身長だろう。


 頭だけが変にデカく、ドライヤーみたいに、前の方がとがっていて、黒い丸と四角い穴が一つずつある。


 頭部にはうす茶色の脳みそがうっすらと透けて見えている。


体の方も同じように、色々な器官が見え隠れしていた。

足はなく……いや、ある。前と後ろで、下半身のさらに半分が割れているみたいだ。それをもぞもぞと動かして擦り足のように進んでいるから、きっとあれが足。

そして、首なしのくびれと呼ぶには細すぎる所をなだらかに左右にくだり、そこに、レモン型のぶよぶよした物体がくっついていた。手だ。


 そのうち片方が見る間にうねり、形を変え、筒型になっていった。


そのうち片方が見る間にうねり、形を変え、

人間の完璧な腕型になっていった。

手が身近なコンクリの破片をつかんでーーーーー



ぼくは窓の外に目をやった2,6秒の間にこれだけの情報をキャッチしたのだ。誉めてもらいたいね。



足を蹴られ、後ろに倒れ込む。机の足に頭を打って、目から火花が散ったさ。


と同時にパァン、と銃声が響く。すぐ側で聞くとこんなに大きな音なのか、と素で驚いた。


北澤が両手でオートマチックライフルを構え、狙いを定めては撃っている。連続して、撃つ。それにどれだけの集中力を必要とするだろうか。


北澤は体をくるりと半転させると、またコンクリの教室の柱に背中を預け、何もない天井を見上げた。


窓からは容赦なく、教室の床をへこませるほどの、金属やセメントの破片が撃ちこまれだしている。


ぼくに一瞥をくれると、また機関銃(ライフル)を構え、破片の大元を狙い撃ち出す。汗がしたたる。


なんとなく、艶っぽかった。

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