1・始発
作者はバリバリの新人です。至らない箇所も、気に入らない表現もあるかもしれません。ただ、この小説はあくまでも津浦の妄想です。苦情は一切受け付けません。ただ、評価、感想は大歓迎です。また、本気で気分が悪くなった等の注意は受け付けます。どうぞダラダラとお付き合い下さい。
あと十五分。
世界が終わるまで、あと十五分。
三時間目
あと十五分でチャイムが鳴る。流れるように単調な授業を受けながらぼんやりと思った。
ぼくの席は廊下側の一番前。ここは先生の死角に入りやすくて、陰ながらそこそこの人気を占めている席だった。
そのとき。後ろから、耳障りな音が響きだす。ジリリリリリリリリリと、目覚ましのベルみたいな音。
みんな一緒に、一斉に、顔を傾ける。その先はぼくと、綺麗に対極にある席、窓際の一番後ろ。
彼女の席。
普通に友達とつるんで、二年の時には彼氏もいて、成績は八十人中十五番くらいで、上がり症で、ちょっと優柔不断で、顔にはにきびがあって、男子からはあまり良く思われていないけれど、笑うと可愛いとかで女子からは人気のある、彼女。北澤悠亜。
そんな彼女が、立ち上がり、イスを後ろに倒して、僕達の視線なんかそっちのけで、手に握っている何か四角いものを口元に持っていっている。トランシーバーみたい。いや、トランシーバーだ。機械に向かって荒げている声がここまで聞こえて来ている。先生も、僕達も声は掛けられなかった。
「待ってください、だって今は昼間じゃ…!………はい。え、まさか?!……ッ!はいっ!了解しました。はい、着てます。…ちょっとまって下さい」
「おい、北澤!なんなんだ、いったい!座れ!」
間をみて、先生が顔を赤く怒らせ、声を張り上げて北澤に言った。
しかし、北澤は先生の声なんか聞こえていないかのように、そっぽをむいて窓の外をうかがい見ている。顔が、目に見えて青ざめていった。そうしてまたトランシーバーに話しかける。
「はい、確認しました。まだ行動は開始していない様子です。はい。………全学年で欠席は合計三人です。…はい。サブマシンガンとオートマです。了解しました」
北澤はトランシーバーを離すと、まるで猫みたいにしなやかに行動をはじめた。普段のドジッ娘からは考えられない動きだった。
後ろのロッカーから自分のリュックを取り、トランシーバーを机の横の手提げにしまう。と思ったらその手提げから、今度はへんな三日月がたにたたまれたような、ダークグリーンの分厚い物体を取り出した。それをパキパキと音をたてて広げると……ぅわあ、ヘルメットになった。
ヘルメットをかぶると、今度はリュックから教科書云々をひっくり返して出し、手提げの中身をリュックに移し替えて行った。見る限り、それは、
「銃…」
思わず呟いてしまった声がやけに響く。教室は静かだった。先生も、だれも喋らない。
北澤は手元に小型の銃一丁を残し、残りを入れたリュックを背負った。
ぼくは昔から、そういう戦闘系の物語が好きで、読書のなかにもなかなかの割合でその手のものがはいっているので、武器には詳しい。きっと今持っているのは『短機関銃』だ。そしてさっき持っていたそこそこ大型の銃は『オートマチック・ライフル』だったと思う。
なんで?
僕達は中学生だ。中学三年生だ。受験生だ。戦う者だけど、武器は単語帳と合格消しゴムだけじゃなかったのか。
北澤がまたトランシーバーを出して、表面に付いていた丸いダイヤルのようなものを回している。カチカチ、という音だけがやけにひびいた。
『あーあー、テステス、聞こえますか』
学校に彼女の声が響いた。
ぼくは時計を見る。
チャイムが鳴るまで、あと十三分。
世界が終わるまで、あと十三分。
文章はこれから精進していきたいとおもっていますので、どうぞお目こぼしを。評価、感想お待ちしております!