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都市童話

機械都市マキシナリオン

作者: 滅天使

 あるところに、マキシナリオンという街がありました。


 マキシナリオンは全てが機械でできた街です。


 街の中も建物も、畑を耕すのも商売も、動物も本もみんな機械です。


 自動で動く道、自動で中を移動できる階段、自動で肥料をまいたり収穫する機械、主人が死ぬまで死なない家畜、文字が消えたりページが破けたりしない機械の本。


 街の人々は機械を作っては、家事も仕事も全部機械にさせました。


 おかげで、人々は十分に楽な生活を送っていました。




 技術が発達するに連れ、機械を作る工程も機械にまかせるようになり、人々はほとんど外に出なくなってしまいました。


 家にいれば、朝起こしてくれるのも、料理を作るのも、片付けも掃除も洗濯も、遊び相手だって人々はそのためだけの機械を作ってしまうのです。


 マキシナリオンの街は、街灯の明かりと、ずっと動き続ける道とその駆動音だけです。


 それでも人々は、機械を作ることだけはやめず、より賢い、より便利な機械の製作に励みました。




 長い月日をかけて、人々はある機械を作りました。


 それは、戦争をする機械です。


 機械が欲しいとねだる他の街に対して、マキシナリオンの人々は機械に戦わせ、攻撃しました。


 人自身が武器を持つのに対して、マキシナリオンの人々は自分たちでは戦わず、機械自身が武器となりました。


 他のどの街も、マキシナリオンの人々に戦いを挑むことはなくなりましたが、一転して静かになった人々は、かつての清閑とした街の空気に戻ることはできず、街の中で小さな戦いをするようになりました。


 最初は武器を持つ機械同士で、遊び半分でしていたことが、何を間違えたのか、人に攻撃が当たってしまい、ついには死んでしまったのです。


 人のように賢くなるよう作り上げた機械は、人を攻撃することを覚えてしまい、その後も人を攻撃するようになりました。


 身の危険を感じた人々は、機械を全て怖そうとしました。


 人に壊されることを察知した機械たちは、人に壊される前に、お互いを攻撃し始め、それを見た別の機械がまた、機械が機械を壊すことを覚え、自らを攻撃し自滅しました。


 瞬く間に、街中の機械が破壊してゆき、とうとう一体も見当たらなくなりました。




 生活の何もかもを機械に任せっきりにしていた人々は、機械なしでは何もできず困り果てました。


 もう一度機械を作ろうとしましたが、またあのような大惨事が起きては大変です。


 そこで、人々は大惨事を防ぐために、絶対に守らなければならない規律を作ることにしました。


 たくさんあっては覚えきれないので、最も簡単で重要なことを三つにまとめました。


 まずひとつは、機械から人間に攻撃をしないこと。

 戦いや争いを防ぐためです。


 次に、人間の命令に必ず従うようにすること。

 人が必ずしも他人に付き従わないことがあるように、人のように賢くなった機械もまた、人間の命令を聞かず、ひとつめの規則に反してしまうかもしれないからです。


 そして最後には、機械が機械を守るようにすること。


 これは、今まで機械に何もかもを任せすぎた自分勝手な人々の、自分たちへの戒めです。


 この三つを必ず守ることを約束し、街の人々は再び機械を作り始めました。


 何もかもを任せきりだった頃に比べれば、不便な思いをする生活ですが、街はとても平和になりました。

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