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降下

作者: 坂上 葱久


 どうも、こんにちわ。

 いきなりですが、少し私の話をさせてください。

 

 私には夢がありました。

 思想信条というわけではありませんが、そういった考えってものを曲に乗せて伝えるという、簡潔に言えば、ミュージシャンってヤツです。

 恋とか愛とか。時には世の中を憂うものだってありました。

 でも、それも一個の人間の力ではどうにもならず、イヤ、時流ってものに乗れなかったのでしょうね、結局鳴かず飛ばずだったわけで。

 タハハ、お恥ずかしいかぎりです。もっと現実的なことに時間を使えばよかったと。親も兄弟も親戚も色んな人たちに迷惑をかけてまですることだったのか。今となってはもうどうでもいいことです。


 《94》


 それからなんとか地元の企業に就職も出来て、イヤ、コネとかではないですよ。なぜか私の音楽に興味を示してくれた、とある男性がその会社の役員だったというだけです。

 今でもなぜ、あの『恋は豚骨・鶏がら・利尻昆布』が彼の胸を叩いたのかはわかりません。

 とにかく、私はその会社に務めることになりました。世の中、なにがきっかけかはわかりませんね。


 《67》


 しかし、良い事もあれば悪い事も起きるようで、色んなものを失いました。

 長年付き合っていた彼女には「夢を追わなくなったあなたに興味はない」とフラれ、親父は入退院を繰り返すようになり、母は……。なにか一芸や技術があるわけでもないので、会社では厄介者扱いを受け、たまの休日にドライブに出かけた先で事故を起こしたりと散々でした。

 

 《41》


 そんなわけで私はこの人生に疲れ切ってしまいました。ロクなことなんてなにもない。そこまでしがみついてまでがんばることがバカらしくなってきました。

 あぁ、楽しいことは青春時代で全てやりきってしまいました。この先にあるのはやたら長く、険しく、その結末になにが待っているかはわかりませんが、きっとなにも待ち受けているものはないでしょう。

 これが絶望というものなのでしょうか? それでも、今こうやって、あなたの中になにかを残すことができているのかもしれません。イヤ、覚えていてくれとは言いません。ただ、今このとき、あなたの時間を使わせていることが私にとって最後の矜持なのです。


 《22》


 だからできれば最後まであなたには見ていて欲しい。もうなにも見せることも聞かせることもありませんが、ただ見つめていて欲しいのです。こんな腹の出っ張ったオヤジを見てもなんの感慨など起こすはずもないでしょうが、それでも私が30余年酷使し続けた大切だった身体です。

 あぁ、それにしてももうなにもすることがない。なぜだが晴れやかな気分です。


 《13》


 え、私に話したいことがある?

 なんですか?


 《8》


 願いを叶えてくれる?

 …………。


 《5》


 いえ、もうなにもないです。だって叶えてもらってもこの通りですから、もう悩む時間すらありません。いつもいつも優柔不断で、チャンスを逃し続けた私です。この間際になってそんなこと言われても困ります。


 《4》


 一瞬の辛さのためにこの身を投げ出したことを笑いますか? それとも怒りますか? あなたは優しいですね。こんな急に自分語りなぞ始めて、急にいなくなる身勝手な人間にそこまで感情を持ってくれているわけですから。


 《3》


 最後に会えたのがあなたでよかった。見ず知らずでよかった。きっと自分のことをよく知っている人であれば、ここまでなにかをしゃべることも、そして思ってくれることもなかったでしょう。


 《2》


 え? 今度は報告ですか? なんでしょう?

 …………。


 《1》

 

 早く言えよっ! ならこんなことをするわけないっ! そうだ! そう、願いを叶えてくれるんだろ!

 願いは、願いは………。


 《0》


 …………。

 ……………………。

 ………………………………。




 自分語りなんでするもんじゃないね。常に前を向いて、未来だけを見ておくべきだった。だから間に合わなかった。結局は、自分が大好きだったんだ。うん、それは間違いじゃないよ。でも、失敗だったね。

 さようなら。自分で決めて、自分でしたんだ。後悔なんてあるわけないだろ?

 

初めて書いてみました。

なんというか、適当ですね。現代的な意味で。

結末は……お好きなように想像してみてください。

それでも書いてみるってことに意義があるんじゃないかなとも思い、最後まで書きました。

よろしければご感想やご意見、もしくはバッシングなどを。

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― 新着の感想 ―
[一言] 人生観はけっこう面白いかなあと思う。それなりの社会経験を積んでいる方なのだと思う。しかし、物語としては、演出にとぼしいところがあって、感情移入できないというか、どういうオチだったのかよくわか…
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