表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

森の家で楽しむ

作者: WAIai
掲載日:2026/07/30

夏の合宿で学年全員、森の家に行くことになった。


森の家とは、田舎の山奥にある施設で、自然と触れ合うのをモットーとしているようだった。


例えば昆虫採集とか、ラフティングといって、川で遊んだりとか、色んな行事があるようだった。


「私達、何をするんだろうね?」


バスが到着し、私は不安そうに言う。

しかし彼は動じないようで、

「自然と遊ぶなら、狭い教室で過ごすよりも楽しみだ。それとも、お前は勉強したいのか?」

「そんなわけないわよ!! 私だって…その、何するのか、気になって聞いただけだから」

「そうか。よし、行こう」


彼に手を繋がれ、バスから降りる。

荷物を手に持ち、森の家の玄関前に並ぶ。


「よろしくお願いいたします」


引率の先生が挨拶したので、私達も挨拶を口にする、


「私、支配人の木村と申します。よろしくお願いいたします」


髪をオールバックにし、スーツを着た男性が挨拶してくる。

見た目はどちらかと言うと、厳しい感じで、目つきも鋭かった。


誰の指示も受けない、狼みたいなタイプの人だなと、私は印象づける。


彼はどうだろうと見上げると、木村さんを見て興奮しているようだった。


ライオンさんが珍しいと思っていると、木村さんが続ける。


「荷物はコテージに運んでください!! よろしくお願いいたします」


木村さんの指示に、皆、動き出す。

バスの中はエアコンが効いていて、快適だった。

しかし、外は少し暑さを感じるくらいで、普通に過ごすよりは、なめらかな雰囲気だった。


田舎でも山のほうなので、風がふわりと舞い、鳥がそれを受けて、大きな翼を広げていく。


心地良いなと思っていると、木村さんが言ってくる。


「では、早速、そば打ちをしましょう」


手を大きく叩き、皆の注目を集める。


私は彼を肘でつつくと、

「お前、大丈夫か?」

と逆に聞かれ、

「何が?」

「その、そばなんて作ったことがないよな」

「そうだね。でも楽しそう」

私は張り切ってジャンプすると、場所を移動し、広間に集まる。


和紙の有名なところなのか、和紙細工がたくさん飾られている。

それは温かみがあり、自分の家にいるように、身体を緩める。


それからそば打ちなのだが、彼と班が分かれており、スタッフがやり方を教えてくれる。


「まず、そば粉を水でなめらかにしないと」


言われた通り、私は緊張気味にそば粉に触れる。

まるで砂時計のように、さらさらしており、気持ちが良かった。


そのうち水を加えていくと、固まりだし、スタッフの指示で練っていく。


しばらく練ると、別の人と交代し、側で見ている。

すると視線を感じ、彼のほうを見る。


彼に手を振ると、彼も手を振り返してくれる。


順調にいっているらしく、機嫌が良いようだった。


「早く戻れ」

と口パクしてきたので、「はい!!」と1つ跳ねる。


ライオンさんは楽しそうだから、放っておいても大丈夫かと思い、自分の班に集中する。


「さて、丸めたら、次は伸ばします」


板と棒が用意され、皆、初体験のことに、固唾を飲んでいる。


私は好奇心が強く、班の皆に聞く。


「私がやってもいい?」


どうぞと手を差し出されたので、私はチャレンジする。


「なるべく平均的に伸ばして…」

スタッフのアドバイスを聞きながら、手を動かしていく。


そば粉はクッキー生地の大きなヴァージョンみたいに、均一に広がり、ふうと息を吐く。


「じゃあ、包丁で切りましょう」

「それ、私がやりたいです!!」


私はわくわくして、包丁を手にする。

そばの細さって、どれくらいだったっけと思いながら、丁寧に切っていく。


同じ幅にしているつもりなのだが、やはり素人なので、ばらつきができるが、誰も文句を言わなかった。


「よくできました。あと茹でるのは、私達がやるので」


スタッフはそばを回収し、奥へ行ってしまう。


私はお腹がぎゅーと鳴り、恥ずかしかったが、手作りのそばが楽しくてしょうがなかった。


彼を見れば、腰に手を当てているので、自信があるようだった。


私が親指を立てると、彼も手を振ってくる。


それから待つこと、しばし。


「茹で上がりましたよ!!」


スタッフが手にざるを持ってきて、そばを置いていく。


香りがふわりとし、すでにいつも食べているそばとは違うと分かる。


木村さんが手を叩き、皆の視線を集める。


「皆さん、自分で作ったそばです。努力して手に入れるものは、何でも美味しい。普段と違うそばを五感で楽しんでください」


その言葉が終わると、

「いただきます」

とそれぞれが食べ始める。


私は恐る恐るそばをつゆにつけ、一口、すすると、目を大きくする。


思った通り、市販のものとは比べものにならなかった。


香り、食感、見た目、全てにおいて、贅沢だと感じ、私は次もすすると、満足そうに頬を緩める。


あちこちでそばをすする音がし、まるで合唱のようだった。

皆、笑みを浮かべ、幸せな一時だった。


私は彼を見ると、豪快にすすっていた。

オーラが綺麗なので、美味しいんだなと伝わってくる。


「あ、美味しかった!!」


私は満足そう腹を擦ると、木村さんが、

「次は少し休んでから、外に出ましょう」

と告げたのだった。


何が始まるんだろうと、うきうきする私。


こっそり彼の元に向かうと、嬉しそうにハイタッチする。


「そば、美味しかったね」

「そうだな。味が全然、違う」

「うん!! 次も楽しみだね」

「おう」


私は彼と笑うと、しばらく身体を崩して、力を抜くのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ