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山菜について語りたい

作者: 暇庭宅男
掲載日:2026/03/24

春といえば山菜……というのも、もう今は昔、なのかもしれない。


売り場に出すフキノトウもタラノメも、ウドやコゴミも、年々少しずつ売れなくなってきている。


当たり前といえば当たり前なのかもしれない。山菜とはつまり、現代文明が確立する前、春の野菜が出てくるのに先んじて山の草木が芽吹くのを、食べられるものをリストアップして採集していただけのものだからだ。


それを春の味覚として珍重するようになったのは1960年代、薪から石油へのエネルギー革命が起こって、焚き木を採りに山へ行くことがなくなり、とくに都市部の人が山菜に縁遠くなってからだろう。


もちろん山菜は美味いし、野菜で替えは効かない。タラノメの天ぷらが好きな方は結構いると思うし、フキノトウもあの滋味豊かな苦さを天ぷらにしてもふきみそにしてもおいしい。


全国区かは分からないのだが私の家では、タラノメの代わりにウドの芽を食べる。タラノメのように植物の病気に弱いと栽培が大変だが、ウドはすこぶる病気に強く、同時に毎年採れる量も安定している。ついでにトゲも少なくて採るとき痛い思いをしないのがさらにグッドだ。


ネギの仲間のあさつきもこの時期実に美味しい。ラッキョウにも似ているがラッキョウより断然風味が繊細で、味噌和えが有名だが片栗粉と小麦粉を水に溶いてあさつきをたっぷり混ぜ、フライパンでお好み焼きとチヂミの中間くらいの料理にしたのが好きだ。酢味噌をつけたり、餃子のタレのようなものをかけても美味しいし、いっそとんかつソースのような粘度のあるソースをかけても美味しい。あさつきが家の周りで採れる方はやってみてほしい。


書いていてもう一つ思い出したのは、タケノコはところによってすっかり売れなくなったな……ということである。


まあ無理もないか。タケノコのアク抜きを地道にできるだけのご家庭が、この多忙な現代社会でどれほど残っているのか甚だ怪しい。米ぬかをコップに山盛り一杯に赤とうがらしを1本鍋に入れ、タケノコもみっちり入れてこれまたたっぷりの水を注ぎ鍋底にぎりぎり届かないくらいの弱火でまる一時間根気よく煮る。煮上がったら人肌まで冷まして皮を剥き……誰がそこまでできるだろうか。私だって出来やしない。


大きな流れ、トレンドとしてはもう、山菜は廃れていくさだめなのだろう。わらびのアク抜きだって毎年七面倒臭い思いをしながらやっているが、私より下の世代の人が喜んでこれをやるとは到底思えない。


とはいえ、である。さんざん愚痴ったが、八百屋としては山菜を廃れさせたくはないなと思う。時間的に余裕のあるご家庭であればぜひ、一度はウドのけんちんや、タケノコをいちからアク抜きするやり方もやってみてほしい。だいたいタケノコに限っては竹林の荒廃と周りへの急拡大が著しいことが近年繰り返し話題に上がるため、それを防ぐためにもタケノコの食べ方は知っていて損はない。覚えれば時間以外は面倒なことはない……ないはずである。


水煮でなく生から面倒くさがらず煮たタケノコを、薄く切って和風だしと醤油で味付けし、ご飯といっしょに炊いてたけのこご飯にしてみてほしい。春にしか味わえないごちそうだ。暇庭が気まぐれで作ったときは、一升炊いたたけのこご飯も2日と持たなかった。たしかに美味い。そう思わせるだけの力が新鮮なタケノコにあったのだ。


おっと山菜といえば山の民としてコシアブラも紹介せねばなるまい。

コシアブラは私の暮らす地域では家族にすら採れる場所を教えるなといわれるほどに珍重される。ネットで検索すると山菜の女王と称されるとか。


たしかに山菜の中では最も格が高いものの一つだ。山菜のなかで最も繊細な香り。深い苦みは舌に心地よく、その中に複雑な、植物の新芽にしかないうまみがある。天ぷら種として突き抜けたポテンシャルがあり、ニュースにこそならないが農村の盗難事件の代表的なものがこのコシアブラだ。春の風物詩はコシアブラ泥棒とゼンマイ泥棒。他人の所有する山に勝手に入って根こそぎ取っていってしまう。実に頻繁にあり、やられると到底ここに書けないような悪態をつきながら安酒をかっ食らってふて寝するハメになる。


物々交換のレートもべらぼうだ、父の所有する土地に生じたコシアブラは、コシアブラをこよなく愛する都市部の親戚に惜しまず500gくらいお裾分けすると、お礼にとコストコで売っている大迫力の牛ばら肉のかたまりに化けて返ってくる。フェアな取引なのかどうか、今ひとつ疑問なくらいだ。だってコシアブラの管理なんて私も父も一つもしていない。春に1日だけ採りにいくだけなのだから。大丈夫だよね?気が付いてないだけで不平等な交換になってたりしないよね?俺本当に心配なのこのレートが正当なのかどうか。


脱線した。話をもどそう。

市場規模としては少しずつ衰退しながらも、山菜はまだもう少し春の味覚として命脈を保つだろう。

これを読んでいる皆様の中に、山菜がお好きな方はおられるだろうか。もしもおられれば、今年もなかなか寒く厳しい冬であったので山菜は大いに期待してほしい。きっと、美味しいものが出回るはずだから。

八百屋としては原価がえげつなく高いため扱いたくないのだが百姓の春の楽しみとしては大いに楽しみな山菜。その二律背反をどうすべきかと悩みに悩んで、いっそ文章としてブチまけてしまえと八つ当たりで書いたもの。コシアブラのくだりは真剣にレートが正常か悩んでいるため、嫌でなければコメントで感想をいただきたい。切に。

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山菜好きです♡ 居住地では思うように手に入らないので,岐阜県の高山方面へよく行く親戚頼みです(ひどい ふきのとうは苦手なままですが,たらの芽やコシアブラ(こちらだとコンテツと呼びます),こごみなどをい…
 山菜。  自分にとっては、山菜は買うものでは無くて、トる物ですね(笑 (採る または 盗る)  タケノコのシーズンには夜明け前に動き出して、山に入ってタケノコ採取。  で、手早く掘り出して、手早く撤…
山菜について、体験に基づきすごく詳しく書かれてる…、と思ったら八百屋さんでらっしゃいましたか! なるほど! コシアブラは見たことなく、他の山菜も名前は聞いたことあるけど、どれがどれか怪しいものもある浅…
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