恋という名のもの
恋愛小説ですがファンタジーです。
私は恋をしたことがなかった。
恋のような彼、彼女の関係になったことはあってもそれまでだった。楽しい時間を過ごして、喧嘩もして仲直りもして普通に付き合っていると思う。けど心は冷めたもので熱に浮かさられるような事はなかった。好きと言う感情自体がわからなかった。それを悲しいとも思わなかったし、私はそういうものなんだと思っていた。自分はみんなと少し違うと。恋愛映画のようなことは特別な何かで世の中の人みんながそうなのだとは思っていなかった。
社会人2年目の私は、同じ歳の翔と付き合っていた。私は大阪で、彼は東京で働いていた。付き合いだして2年で遠距離になった。遠距離恋愛になることにさして問題でもなかった。それぞれの仕事の合間に会えれば特に寂しくもなかった。ここでも、会いたいと言って泣いたりはしなかった。
付き合いだして4年で24歳だった私は早く結婚したかった。子供の頃から結婚への憧れがあり、それは翔にも話していた。だから4年の頃合いで結婚するというのは2人には自然な流れだった。
私は、結婚するんだと高鳴る気持ちとは別で、マリッジブルーに陥っていた。
彼は私のことを嫌っていた。それはあからさまに態度に出ていた。
彼とは、翔の同僚の2歳下の男の子。
康太は童顔で中性的な丹精な顔をし、長い脚を窮屈そうに歩く青年だった。髪は栗色に染め、サラリーマンより、大学生に近い感じ。彼は、どことなく女を見下していた。
彼が『恋』をするとは想像もつかない。クールに女性に対応していた。二年間の間で彼に恋人ができたという話は一度も聞かなかった。私に対しても、彼は、翔の恋人として接していた。
東京の下町。町屋。そこが翔の家がある所だった。私が初めてそこを訪れたとき、東京に路面電車があることに驚いた。東京だよ?と、思った。
田舎者の単なるイメージだろうか?私の家は山のふもとにあるベットタウンだった。看護師という仕事柄経済的に余裕があり、友達と大阪のミナミや心斎橋、梅田などで遊び、夜明けとともにタクシーで5000円も出し帰っているという生活をしていた。東京というと、銀座や六本木などを想像し、都会というイメージだった。あぁ、あと、上野にも驚いた。確かに上野は店が多かったがどこも、古く、上野公園には一歩も足を踏み入れることはなかった。
路面電車に乗り、3駅。熊の前の駅で下車する。熊の前の交差点を右に曲がれば茶色いマンションがある。異様に細いそのマンション。ワンフロアに3部屋しかない。高架の前には電気屋さんがあるがどうやって生計を立てているの?と思うような、小さな電気屋さん。でも、そこのご主人はとても誠実で優しい人だった。穏やかな笑顔がチャーミングだった。
翔も、康太もとても仲がよく2人は社宅に住んでいた為翔が4階、康太が3階というワンルームマンション。もちろん同じ構造になっていて、そうたいして広くもないワンルームでは、インテリアもほぼ同じだった。
彼らのマンションのそばに荒川が流れていたことが印象的だった。河川敷。大阪の河川敷は淀川とか?あまり素敵とは言えず、近寄ることもなかった。荒川の河川敷を散歩するのが私は好きだった。
まだまだ序盤の説明だけなのでお付き合いいただけると嬉しいです。
コメントやアドバイスもらえると嬉しいです。




