王国改革編・第五章「王都決戦!ねぎまと闇串の激突」
それは、歴史に刻まれる異世界クシルガルド最大の決戦の日。
夜空は不気味な紫雲に覆われ、地を揺らすような咆哮が響く。
王都の城壁の向こうから、闇の軍勢が押し寄せてくる。
魔獣、魔導師、呪符兵、そしてゾルグ=ドレッド配下の漆黒の串兵団――
その手に握るは忌まわしき“闇串”。
血を吸い、命を奪い、炭火を穢す邪悪なる呪具。
串の香ばしい香りが消え、代わりに死と腐臭が漂い始める。
殿様、出陣
源之助は炭火亭本陣の焼き場で、ねぎまノ串・泰平真形を赫々と燃え上がらせる。
背後にはユリカ、タケシ、ガルド、アルカ、そして串治安隊二千名。
「皆の者、今宵を泰平のための夜とせよ!炭火を守り、民を守り、串で闇を穿て!」
焚き火が一斉に燃え上がる。
兵たちは両手にねぎまとししとうを連ねた特製の串槍を構え、王都門前へ整列。
ドドドドドドドド――!
地響きのように押し寄せる魔物の足音。
串軍団vs闇串兵団
開戦の号令とともに、串軍と闇串兵団が激突。
炭火で熱した串が、一斉に火花を散らし、空中で交錯する。
ガキィィィィン!
魔族の闇串は黒い瘴気をまとい、触れるだけで人の皮膚を焼く。
だが源之助の陣営は、熱々の炭火で磨き上げた串を巧みに操り、
ねぎまの油煙をまき散らして瘴気を散らす。
ユリカは両手の短串で魔導師を翻弄。
「串技・五色ねぎま舞!」
五本の串が円を描き、五色の炎を上げて敵の魔導陣を焼き払う。
ガルド隊長は長大なつくね串を肩に担ぎ、突撃。
「串の誓い、受けてみろォッ!」
串槍の先で魔獣を貫き、そのまま炭火炉へ叩き込み、
焼き上がる煙と香ばしい音を響かせた。
魔王ゾルグ、出陣
ついに、漆黒の竜を従え、ゾルグ=ドレッド自ら戦場へ姿を現す。
「松平源之助…貴様の串など、闇串でへし折ってくれるわ!」
その手に握るは、災厄の神器串・黒滅串バサラ。
長さ二尺、黒紫の炎をまとい、振るえば天地を裂くという。
ゾルグの闇串が振るわれ、城壁ごと民兵数十名が瞬時に闇に呑まれる。
「串兵衛!炭火護衛隊!!」
ガルドが叫び、防衛線を再構築。
だが闇の瘴気は濃く、王都の空がまるで夜明けを迎えぬまま潰されそうだ。
殿様の突撃
源之助はねぎまノ串・泰平真形を赫々と燃え上がらせ、仲間の前へ進む。
「泰平は余が守る!」
彼の周囲にねぎまの香りと甘辛いタレの煙が渦巻き、
まるで神降ろしのように火柱が立ち昇る。
「いざ尋常に――串勝負ッ!!」
源之助とゾルグ、二人の串が夜空で激突。
ゴォォォォン!!
闇串と炭火串のぶつかり合いは、まるで天地の崩壊。
王都全土が揺れ、炭火亭の炭まで跳ね上がる。
互いの串が交わるたび、ねぎまの脂が飛び散り、火の粉と闇煙が舞う。
最終奥義・泰平炭穿の突き
源之助は最後の気を練り、串の先端を炭火の中に沈める。
ねぎまとししとうの香ばしさが極限に達した瞬間、彼は叫ぶ。
「受けよ!泰平炭穿の突き!」
赫く燃え上がった串が、闇串の瘴気を貫き、
ゾルグの胸元を一直線に穿つ。
ズガァァン!!
ゾルグの体内から黒き闇煙が噴き出し、
そのまま天空へと消え去る。
「な、なぜだ…串などに…!?」
「串こそ万物の調和、泰平の誓いじゃ」
ゾルグは闇と共に消え、王都には香ばしい炭火の煙と
歓喜の声が響き渡った。
決着と泰平の夜明け
夜が明け、王都には再び炭火の匂いと子どもたちの笑顔が戻る。
源之助はねぎまノ串を天に掲げ、宣言する。
「泰平は此度、串のもとに在り。民よ、炭火を囲み、旨き串を食らえ!」
串祭りが開かれ、老若男女が焼き鳥を頬張り、
戦で倒れた者たちにも炭火と香りが捧げられた。
最後の一串
源之助は一本のねぎま串を焼き、天に掲げる。
「父祖よ、異世界の民よ、この泰平を永久に」
炭火の煙は天へと立ち昇り、
そこに微かにタレ=フレイム神の笑みが浮かんだのを
誰も知らない。