王国改革編・第四章「炭火の神降臨と秘められた串神器の謎」
闇夜の激戦が明け、炭火の砦には朝の光が差し込んでいた。
焼け焦げた串治安隊の陣地には、炭火の香ばしい匂いと、敗れた魔族の黒い灰が混じって漂う。
「……勝ったのか?」
ガルドが膝をつき、剣を杖代わりに立ち上がる。
タケシ精霊も肩で息をしながら、源之助の姿を探した。
「殿!殿はどこにいった!?」
だが、そこに殿様の姿はない。
消えた殿様と炭火の神域
その頃、源之助はひとり闇に包まれた異空間にいた。
宙を漂う無数の炭火の光点、香ばしい煙、そして甘辛いタレの香り。
「ここは…何処じゃ?」
響く声は重く、それでいて慈愛に満ちていた。
「よくぞここまで辿り着いたな、異邦の串武者よ」
源之助の目の前に、赫く燃え上がる巨大な炭火と共に
神々しい男の姿が現れる。
肩にはねぎまとししとう、手には黄金の串。
その名も――炭火神タレ=フレイム。
炭火神の啓示
タレ=フレイムは穏やかに微笑んだ。
「そなたの手にある“ねぎまノ串”こそ、この世界に唯一残された神器のひとつ。“泰平の串”と呼ばれるものだ」
源之助は驚き、串を握る手に力が入る。
「神器…?」
タレ=フレイムは静かに頷く。
「かつてこの異世界には五本の神器串が存在した。“泰平の串”“災厄の串”“時渡りの串”“神罰の串”そして“至高のねぎま”」
「しかし災厄の串を手にした魔王ゾルグ=ドレッドが全てを闇に変え、民は絶望の底に落ちた」
そして今、唯一残された泰平の串が源之助の手にある。
串の力、覚醒
タレ=フレイムは言う。
「その串は“肉と心を貫き、争いを止め、泰平を呼ぶ”力を持つ。そなたが炭火と誠の心で振るえば、世界の闇も消えよう」
源之助は深く頷く。
「ならば余は、この串をもってゾルグを討ち、この国に真の串泰平をもたらしてみせる!」
その言葉にタレ=フレイムは満足げに微笑み、
源之助の串を両手で包む。
「今より“泰平の串・真形”としてその力を授ける」
串は赫き炎をまとい、炭火の神力を宿した。
【ねぎまノ串・泰平真形】入手!
帰還、そして覚悟
光に包まれた源之助は炭火の砦へ帰還。
仲間たちが駆け寄る。
「殿!!無事だったか!」
「むろんじゃ」
源之助は赫く燃える新たなねぎまノ串を掲げ、
集う民と兵たちに宣言する。
「泰平の串は余が握った!このまま王都を守り、ゾルグ=ドレッドを討つ!」
群衆は割れるような歓声。
「殿様ーっ!!」
「串万歳ーー!!」