表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/16

王国改革編・第三章「炭火の砦、最後の守り」

異世界クシルガルドの王都・中央城郭から北へ十里。

炭火亭の総本山にして、殿様松平源之助が築き上げた**“炭火の砦”**は、今まさに戦の炎に包まれようとしていた。


石造りの高き城壁に、ねぎまとつくねの旗がはためき、

炭火の香りが立ち込める防衛拠点。


「殿様!魔物軍、ついに包囲を完了しました!」


串治安隊の隊長ガルドが駆け込む。


「数は?」

「確認できるだけで三千!中型魔獣が百、魔導兵も多数!しかも…奴ら、闇の呪符串を使っています!」


タケシ精霊が蒼白。

「まずいぜ殿、あれはこっちの炭火を呪いの炎に変える代物だ!」


源之助はねぎまノ串を手に取り、天に掲げた。


「炭火の誓い、今こそ示す時!この串を抜かずして余は泰平を語らず!皆の者、準備を!」


串による防衛線

串本陣の兵たちは、それぞれ炭火炉の前に陣取り、

熱した串を槍のように構える。


「ねぎま隊、前へ!つくね班、後詰め!ししとう隊は左翼を守れ!」


源之助の声に合わせ、一斉に炭火が燃え上がり、

城砦内の炭焼き場から香ばしい煙が天へ立ち昇る。


香りを嗅いだ魔獣たちは思わず鼻をひくつかせ、一瞬足を止める。


「この香ばしさ…うまそう…」


だがゾルグ=ドレッド配下の魔導師が号令を飛ばす。


「気を取られるな!ねぎまの香りに屈するな!!」


開戦!串烈火の陣

夜空を裂く魔力の弾幕。

魔導師たちが放つ漆黒の火球が炭火の砦を襲う。


「放て!串火槍!!」


源之助の号令一下、兵たちが炭火で焼いた特製の巨大串を投擲。

串の先端は赫く燃え、ねぎま・砂肝・ししとうを連ね、

飛来する火球を撃ち落とす。


バシュゥゥン!!


無数の串が夜空を飛び交い、魔導の炎を撃ち消す光景は

もはや壮観。


ユリカが両手で焼き場を守り、

アルカ=レインが魔法結界を張り、

タケシは串手裏剣を投げ続ける。


「来い、ゾルグ軍ども!この香ばしさの中で炭になるがいい!」


魔王の切り札

しかし、その時。

ゾルグ=ドレッドが放った究極呪符串**“死黒炭串”**が闇の空を裂く。


「これが貴様の炭火の終焉よ!」


呪詛まみれの黒き串が、砦の中央炭火炉に向けて一直線。

当たれば、全ての炭火が呪いの黒煙に変わり、王都は終わる。


殿様、奇跡の一突き

源之助は宙に跳び上がり、ねぎまノ串を握り締めた。


「泰平を…串の志を…守るのはこの余よ!」


赫く燃え上がったねぎまノ串が流星のごとく降下し、

呪符串に激突。


ドゴォォン!!


天地を揺るがす衝撃。

黒き呪符は霧散し、赫き串火だけが夜空を裂いて残った。


砦内は歓声と涙の嵐。

「殿様ぁぁぁー!!」


ガルドが膝をつき、タケシも感極まる。


「殿、串の誓い…守ってくれたっす…!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ