ハイキングへ行こう! (7)
「結論を先に言うとね。エキストラ・ハイポーションの原料として、使えなくはない。」
再びナディもリアも泣きそうになっていた。さすがに、エイムとレオンは抱き合うことはなく、顔を見合わせた。
「もともと十分に成長して花を咲かすからね。まだ芽を出して、花を咲かすほど魔力が蓄えられていないんだろう。だから球根としても小さい。クリストル草の球根であることは間違いないが、これを原料として使っても、エキストラ・ハイポーションを一本作れるか、作れないか……」
その説明を受けて、神妙な面持ちになった四人に、ミネルバがさらにとどめをさす。
「何より、これをギルドに持ち込んでも、しかもこんな小さい球根一個で、これを成果として認めるか?ちゃんと鑑定できるかも含めて、疑問だね。」
四人とも次にひどいこと言ったら、もう泣くぞと言うような追い詰められた表情になっていた。
「そこで提案だ。エイム、あんたがこのパーティーの頭目だ。あんたが決めな。」
そんな四人に助け船を出したようにも聞こえたミネルバの言葉だったが、その目にはまだまだ容赦はなかった。
「これをギルドに持ち込んでも評価されないかもしれない。かと言って、私がこれを原料にエキストラ・ハイポーションを生成しても一本作れるかどうか。そこでだ。これを私が研究材料として買い取ろう。リアの言うミスリルの魔力で育つって仮説にも興味あるしね。それでどうだい?」
そう言って、目の前にミネルバは、小さな麻袋を置いた。置いたときの音から、中には相当量の中身が入っていることは明らかだった。
「金貨で二十枚ある。質の悪いエキストラ・ハイポーション一本分くらいだろう。」
「に、二十枚?!いいのかよ?」
「うちのかわいいナディの旦那様相手だからね。多少なりとも色を付けてないと言えば嘘になるが……悪くはないと思うよ。」
「俺らが文句言える立場かよ。」
エイムは即答した。
「じゃあ、いいのかい?私が嘘を言ってるとは思わないのかい?」
「二十枚の金貨を目の前に置かれて、冷静でいられるブロンズの冒険者がいるのかよ?それこそ期待しすぎだ。それに、これで騙されたとして、ずいぶん気前のいい詐欺だったと思って経験にするよ。」
「上等な答えだ。その金貨、もってきな。」
そうして、その麻袋を手にし、四人でナディの実家を出た。そして、そのすぐ玄関先で、まばゆい輝きを放つ金貨が詰まったその中身を見て、互いに顔を見合わせた。
「やったぁ!」
ナディの開口一番、四人で喜びを爆発させて抱き合った。そんな様子をミネルバは窓越しに見て微笑んでいた。その目は優しく子を見守る母親の目であった。
そんな四人の最初のクエストはギルドには評価してもらえないものになってしまったが悪くはない結末を迎え、いろんな経験にもなった最高のハイキングとなった。




