ハイキングに行こう! (6)
「今朝はなんだか、お二人ともお肌がつやつやしてますね。」
「レビルオンのパワーってすごいんだね。」
一夜明けて、以前とまったく違うナディの言葉の意味を、十分に理解しているレオンは、顔を赤くしてリアの目をまっすぐには見られずにいた。
「おはよう。」
そこにエイムが起きてきた。
ちなみに、昨日はリアが、エイムのテントで寝たそうである。いつもより広々としたテントで、エイムが目を覚ますと、枕元にミネルバ印のエリクシールが一本、置いてあった。それを迷いもせず、エイムは朝から一本飲み干してからテントをゆっくりと出た。
朝の太陽が眩しすぎるほどに眩しく感じた。
「さ、採れた銀鉱だけ荷台に積んで、ベレントールに帰るか。」
そこから四人で、荷台に選っておいた銀鉱を、黙々と荷台に積み始めた。そこに言葉はなく、ひたすら作業を続けた。
「あ、ごめん。一個、落として割れちゃった。」
「足下に落として怪我すんなよ。気を付けてな。ナディ。」
荷台に載せようとして、落として割れてしまった以上のことは怒らなかったことを確認すると、せっせと銀鉱を拾い集めるナディに、それ以上はかまわず、他の三人は黙々と作業を続けていた。
「あれ?これなに?真っ白……石じゃないよね、これ?何かの実?種?」
そのナディの言葉に、他の三人は全員同時「え?」となって、ナディのまわりに駆け寄った。
「これ?なに?これ、光って……ない?魔力?だよね?」
ナディがつまみ上げた玉のようなものは明らかに鉱物とは違うもので、淡く光っているようにも見えた。
「ま、まさか?」
このとき全員が同じ事を思い浮かべた。
「ナディ、それ大事に持ってろ!行くぞ!この荷物、ベレントールでさっさと下ろして、一度、村に帰るぞ!」
球根と言えばそこそこ大きいものだと四人が、四人ともが思い込んでいた。まさか少し大きめの宝石くらいのサイズだなんて……
速攻でベレントールに戻り、借りてた道具と荷台を、銀の鉱石ごと貸主に押しつけている間に、馬をしっかり休ませて、そこから一直線に自分たちの村へと、寝る間も惜しんで走り続けた。
あとで思うと、自分たちを乗せて走ってくれた馬二頭には、すごく悪いことをしたと思うほど、最低限の休みを挟みながら走らせ続け、行きは三日かかった道程を、二日で走り抜け、日も暮れてから村までたどり着き、どこにも寄らずナディの実家に四人で飛び込んだ。
「なんだい?あんたたち。もう金策尽きて、押し入って来たのかい?」
その様子に、あきれ顔のミネルバに、この二日、ずっと胸元で握りしめたものをナディが見せた。
「ママ、これ……」
ナディの手からつまみ上げたその白い粒を、ミネルバが目の近くまで持っていって鑑定を始めた。
「ああ、こりゃクリストル草の球根だよ。」
「うわーん!」
ミネルバの言葉を聞いて、ナディは声を上げて泣き始めた。その横で、リアも両手で顔を覆って泣いていた。エイムとレオンは抱き合って、互いに信じられないという顔をしていた。
「ただ見たこともないほどの小粒だけどね。使い物になるか……」
その一言で、ナディもリアも瞬時に泣き止んだ。そして、四人でミネルバを見た。全員が全員、絶望的な判決を聞く盗人ような情けない顔をしていた。
「待て!調べてみるから、とにかく今日はもう遅いし休みな!」
ミネルバにそう言われて、それ以上、どうすることもできずにその言葉に素直に従って、四人でエイムの家に帰って、あの大きすぎるベッドを目の前にした瞬間、力尽きた四人は揃って、そこで眠ってしまった。




