愛の巣を作ろう! (3)
「お帰り!お兄ちゃんたちの方が、遅かったね。」
宿の女部屋に帰ると、すでにナディとレオンが揃ってベッドでくつろいでいた。
「ちょっとな。ギルドの資料室を見せてもらってた。」
「どうかした?」
レオンも会話に加わってきたが、とりあえず続きは夕食を取りながらということになって、揃って一階の食堂に降りていき、席について、一通りオーダーが終わったところで、話を再開させた。
「クリストル草?エクストラ・ハイポーションに使う薬草のこと?」
「そうなの?」
レオンもクリストル草と言う薬草の名前は初めて耳にしたようだった。
「さすがはミネルバ様のお嬢様。よくご存じで。私も先ほど、エイム様に教えていただいたばかりなのですが、ある程度の量がないと大した金額にならない他の薬草と違って、特別珍しく、一本でも大変高価なものであるとお聞きしました。」
「クリストル草を探すの?私たちで?それは、ちょっと……」
珍しくナディが怪訝そうな表情を浮かべた。
「それ、伝説の財宝を探すのと同じレベルって聞いたことあるよ。」
「俺もそう言ったんだがな。」
正確にはクリストル草の球根から錬金するエキスと、いくつかの一般的な薬草などを混ぜ合わせることで、エキストラ・ハイポーション、俗称でエリクサーとも言われる最上位のポーションを生成できると、エイムもミネルバから聞いたことはある。
ただミネルバほどの錬金術師でも、球根そのものは見たことがあるが、咲いている所は見たことがないと言っていたのを覚えている。ただ夜見つけると、その白い花は淡い光を放つと言われていて、「女神が愛でる花」とも呼ばれる代物である。
実際、ここ十年でたった三度の採取の記録しか、マルタのギルドの資料室では、見つけられなかった。
「まだ資料は沢山あったので、明日も資料室で探してみようとは思うんですが、今日見つけた三件の記録を見ると、見つかった場所にいくつか共通点があるんです。もう少し、調べて確信が持てたら……」
「ママに聞いてみる?」
「え?!村に帰ってですか?」
「そんなことしなくても大丈夫よ。あとで教えるからご飯にしよ!お腹すいた!」
ナディがまたどや顔になったところで、頼んだものが運ばれてきたので、夕食が始まった。
「ところで借家の方はどうだったんだ?」
「保証金と最初の一ヶ月の家賃で上限銀貨五十枚というところで、二件くらい見せてもらったんだけど……うーんって感じかな。」
「ナディのお眼鏡にかなわなかったみたい。」
「今、ある程度、町が復興して、新たにやってくる人も戻ってくる人も多いし、引く手数多だからふっかけてんのよ。きっと。」
こういうところはナディはしっかりと値踏みしているので、エイムは安心していた。
「どういう物件をお探しなんですか?ナディ様は?」
「町の中心からは少々離れててもいいから、みんなが集まれる大きなテーブルが置けるダイニングと綺麗な水回りは必須。小さくていいから井戸も専用のが欲しいわ。あと別に、大きいベッドが置けるわたしたち夫婦三人の寝室と、リアさんのための寝室になる部屋で最低二部屋。」
なんかダイニング以外は寝室ばかりじゃないか?その家?
「当然、お風呂も欲しい。あと私たちのクローゼットになる部屋が作れれば最高!」
借家の相場はよく知らないエイムだったが、銀貨五十枚でそんな家が借りれるのかは疑問だった。少なくともエイムの自宅よりは大きいように聞こえる。あとエイムが一人になれる部屋がないことが確定していることも認識した。
「一応、明日、銀貨六十枚までならと言うことで、別に三つほど物件を見せてくれるらしいだけどね。それを見てからかな。」
そこまでの話が終わると、一番最後まで口を動かしていたナディも夕食を食べ終わった。
「じゃあ、次はママにクリストル草の話、聞いてみようよ!」




