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魔装変身 レビルオン  作者: 川端 大夢


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いつ出てくんだい? (3)

「で、あんたたち、いつ出てくんだい?ヤリたい盛りなのは分かるが、いい加減にしておかないと、村から出て行く前に孕むよ。」


 ここ数日は、食事を取る気になるとエイムの家に自分からやってくるようになってきていたミネルバに、夕飯時に『ヤリたい』とか『孕む』なんてパワーワードを使うな、それにあんなでかいベッドを送りつけた本人が何ぬかす……と言ってやりたかったが、エイムは口には出さなかった。


「だって、村から出て行ったら、もう今みたいに毎晩、お兄ちゃんに愛してもらえるとは限らないんだよ。お姉ちゃんも、名残惜しいよね?」


「なんだい?激しいのはナディだけじゃないのかい?」


 振られたレオンは耳まで真っ赤にして、叱られている子供のように下を向いていた。聞いているだけで口を挟めるはずもないリアは、笑顔のまま硬直していた。


 結婚式からすでに十日が経とうとしていた。

 三日かけて大掃除もして、エイム宅はすでにほこり一つないくらいになっていたし、野営などしたことのないナディに加え、レオンとリアの装備も新調して、誰がどう見てもぴっかぴかの冒険初心者に見える準備は、すでに三日前くらいに整っていた。


「お兄ちゃんが毎日、お昼近くまで寝てるからだよ。」


 あ、人のせいにしやがった。


「あんたたちが毎晩、エイムを搾りきるからじゃないのかい?」


 さすが師匠。おっしゃるとおり。

 これには毎晩、二回以上はおねだりしてくるナディもさすがに頬を染めて笑顔でごまして、反論しなかった。


「ま、どっちかが孕んで出て行けなくなっても、エイムをうちでこき使ってやるから。いいけどね。」


 全然、よくない!


 ただそんな十日間で驚くべきことが一つ。

 これまで、ヒール(小癒)とブレス(祝福)という初歩法術を仕えなかったレオンが、いきなりピュアリファイ(浄化)にホーリー・ライト(聖光)の天啓を受けた次の日には、さらにキュア(治療)やプロテクト・ウォール(聖壁)まで使えるようになった。


「あなたがエイム君を、そして、エイム君があなたをより深く愛するようになったからですよ。神様からの祝福よ。きっとそう。」


 そうマイアから言われてから、寝室でのレオンは、日に日に大胆になっていった。


「明後日の朝、出発する。村を出る。」


 会話が途切れた頃合いを見計らって、エイムがそう宣言した。


『えぇ!』


 ナディとレオンが合唱した。明らかな不協和音だった。


「そんな急に。」


 十日を急とは言わない。

 レオンもこの十日でずいぶん自分の気持ちというか、欲望を口にするようになっていた。


「じゃあさ、今日はさ。いっぱい……ね♡」


「それぞれ実家に戻って、出発まで親孝行してくること!」


 ナディのおねだりを遮るように、再びエイムが宣言した。


『えぇ!』


 今度は見事な和音で、ナディとレオンが再び合唱してから、二人顔を合わせて何か話し始めたが、反論は思い浮かばないようだった。

 その様子に安心していたエイムに、リアが耳打ちするようにそっと疑問を問いかけた。


「あのところで……毎晩、そんなに激しいのに、あの……避妊とかされてないんですか?」


「避妊?」


 リアが口にした言葉はエイムが聞いたこともない言葉だった。


「あのひょっとして……この世界には……」


 非常に驚いているように見えるリアに食いついてきたのはミネルバだった。


「なんだい『避妊』って?リア、それはここらでは聞かない言葉だよ。私に詳しく教えてくれないかい?」


「あ、はい。」


「ナディも!ごねてないで、愛しの旦那様の言うことを聞けるときは素直に聞くのがかわいい嫁ってもんだよ。レオンもだよ。今日は大人しく帰ってきな。」


 名残惜しそうなナディだが結局、ミネルバに従って、リアと三人で素直に帰っていった。


「これは晩飯代だ。おかしなもんは入れてないから、安心して夜寝る前に飲んどきな。」


 そう言って特製のエリクシール(強壮薬)をミネルバは置いていった。残ったレオンもおねだりしてキスだけしてもらうと素直に帰って行った。

 そうして、エイムは久々に一人になった。


 ちょっとゆっくりしてから、最近、ナディとレオンの部屋になってから立ち入ってなかった母 エレノアの部屋に入った。クローゼットの中は、すでに二人の服に入れ替えられていたが、それ以外は綺麗に整理されていながら、大きく模様替えはされておらず、棚には信心深かったエレノアが身につけていた聖印の首飾りが飾られていた。そのまわりには他に何も置かれておらず、まだしおれていない小さな花が一輪だけ添えられてあった。二人が心からエレノアのことを大事に思ってくれていると感じられて、エイムは嬉しかった。


「母さん、行ってくるよ。俺は必ず、ここに帰ってくるから。安心して待っててくれ。」


 同じ誓いを次の日も立てて、ついにエイムは村を旅立った。

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