いつ出てくんだい? (2)
「な、なんだこの馬鹿でかいベッドは?!」
「ママからの結婚祝い♡」
「いや、そういうことを聞いてるんではなくて……」
今のエイムのベッドの優に三倍はあろうかというベッドが、専用のシーツにその替えまで付いてエイムの家に運び込まれ、書棚を退けたエイムの部屋に設置された。
「若奥様、こんな感じでよろしいでしょうか?」
「若奥様だなんて……うふっ♡すてきよ。ありがとう。」
そう言って、家具屋はこれまでエイムが使っていたベッドを持って、そそくさと撤収していった。
「はい!お兄ちゃん、お姉ちゃん、シーツ引くから手伝って!」
エイムとレオンは、ナディに言われるがまま手伝った。そして、それが終わると、エイムの部屋のほとんどを占める、装飾はそこまで華美でないにしろ、どう考えてもサイズは王侯貴族が使うようなベッドを前にして、レオンと二人して眺めて呆然としていた。
「なに?これ?」
やっと搾り出したレオンの言葉がこれだった。
「何って、夫婦水入らず三人で、あまーい夜を過ごすための寝室♡」
「さ、三人でって、い、一緒に寝るの?え!?」
「そうよ。お姉ちゃんは、お兄ちゃんと一緒に寝ないの?だったら私とお兄ちゃんと二人でここに寝るけど。」
「やだ!僕もエイムと一緒が……いや、そうじゃなくて、イヤとは言ってなくて……三人でって……え、エイムはいいの?」
そう聞いておきながら、エイムの方を見られずにいるレオン。
「お兄ちゃんはいいみたいよ。ほら、イヤラシイ顔になってるでしょ。お兄ちゃん、涎出てるよ。」
ナディにそう言われて、慌ててエイムは口元に手をやったが涎なんて出ていなかった。
「フフ♡なんだかんだで、お兄ちゃんが一番楽しみにしてるんじゃない?」
小悪魔 ナディの言葉巧みな術中に見事にはまった年長者二人はもう次の言葉が継げなかった。
「すぐに寝心地を試して見たいけど、ちょっと早いけどまずはご飯にしよ。それから、一緒にお風呂に入ろ、お姉ちゃん。お姉ちゃんにもね、ママから結婚祝いがあるのよ。」
「え、あの……」
「お風呂もお兄ちゃんが一緒の方がいい?」
「や、だめ。恥ずかしい……じゃなくて。違うくて……あの……うん。エイムも今日は先に入ってね。」
「あ、ああ。」
「えぇ?二人とも昨日、お風呂にも入らずに夢中になってたの♡凄かったんだね。」
「や、ち、違うのナディ。僕たちね、僕がね。」
「いいからいいから!また今度、ゆっくりと教えてね♡」
始終、顔を赤くしたまんまのレオンの手玉にとられようと言ったらなかったが、自分が首を突っ込むと二の舞になることは分かっていたので、もうエイムはナディの言うことに口を出さなかった。
それよりすでに次々と妄想がエイムの頭の中に浮かんでは消え、また浮かび、それを処理することでいっぱいで、夕飯の味も、風呂の温度も、部屋に鎮座する広大なベッドにぽつりと一人になるまでの行動を記憶する余裕すらなかった。ナディとレオンがやってくるまで、時間つぶしに本を読もうと持ってきたが、字が目に入っても頭の中には入ってこない。
さっさと時間が過ぎていかないことがただただもどかしかった。
「お兄ちゃん、お待たせ♡」
その瞬間、ゆっくり閉じたつもりの本を閉じた音が部屋に響き渡った。
ランタンを持ったネグリジェ姿のナディが部屋に入ってきた。
「ふふ。お兄ちゃんに狙われてる感じ。なんかうれしい♡」
「お姉ちゃん、入っておいでよ。大丈夫、お姉ちゃん、綺麗だよ。」
さっきからドアの向こうから顔だけ出していたレオンも、ネグリジェ姿でそっと中に入ってきた。
「これ、ママからのお姉ちゃんへの結婚祝い。」
ナディの淡いピンクのネグリジェに対して、レオンが纏っていたのは淡い碧。ランタンの光に照らされて、レオンのボディラインが透けて見える。
「は、はずかしいよ。これ。ナディと違って、僕、こういう女の子っぽいのは似合わないよ。」
「何言ってんの!めちゃくちゃ綺麗だよ。」
ランタンをベッドにおいて、ナディが硬直しているレオンの背中を押してエイムの前まで連れてきた。
「ほ、ほんと?僕にこういうの似合う?」
そう聞いてくるレオンに、どう言葉を尽くしていいかエイムには分からなかった。それほどレオンは美しかった。
「もうお姉ちゃん、自己評価が低すぎ!見て、お兄ちゃんも、こんなに興奮してるじゃない。」
レオンに見とれいたエイムの横にいつの間にかナディは腰を下ろして、エイムの肌に触れ、その熱さと鼓動の速さを確認していた。
「もう!お兄ちゃん!私のことも見て!」
レオンからいつまでも目が離さないエイムの前に回って、視線をさえぎったナディがいきなり唇を合わせてきた。
「だめだよ。お兄ちゃん、二人のお嫁さんは平等に愛さないと。それに、私、昨日、たった一日だけだったけど、もう一人じゃだめなの。お姉ちゃんばかり見て悔しいから、今日も私が先!」
エイムに跨がって、ナディは自分からエイムを導いた。
自分の中のエイムを感じて震えるナディが、エイムに思いっきり抱きついてきた。
「すごい!お兄ちゃん、すごい!初めての時よりずっとお兄ちゃんを感じる!すごいぃぃぃ!」
ナディのリズムに合わせて、その間、ずっと抱きしめ合い、互いを慈しむように舌を絡めたキスをしながら、互いに果てるまで無我夢中で愛し合った。
「次はお姉ちゃんも愛してあげて。」
ひとしきり確かめ合ったナディは立ち上がると、二人が愛し合う様を口に手を当てたまま、ずっと立ち尽くして目を離せずにいたレオンに近寄って、そっとエイムの前まで連れてきた。
そうして、エイムが差しだした手をレオンはとった。
「お姉ちゃん、どうして欲しいの?自分から言わなきゃだめだよ。我慢しない方が、いっぱいお兄ちゃんを感じられるよ。」
「ぼ、僕も。僕もナディみたいにだっこして……して……欲しい。」
そう言うと、レオンもエイムに跨がって、ゆっくり腰を下ろした。
「あ!ひっ!」
エイムを自分の中に感じたレオンの身体が激しく震えた。そして、そのまま後に倒れていきそうになったレオンの身体をエイムはぎゅっと抱きしめた。
抱きしめられたレオンは夢中になって、エイムと唇を合わせた。
「ん!んぐっ!んん!」
ナディはまた自分のカラダがどんどん熱くなっていくのを感じるほど、合わせた唇と唇の間から、唾液が溢れて滴り落ちても気にも止めずにエイムとレオンは激しく求め合った。
「お、お姉ちゃん、すっごい。」
抱きかかえたまま、今度はレオンをベッドに寝かせ、エイムはさらにレオンの、さらに深くへと入っていった。
「エイムがどんどん、僕の中で大きくなって、熱くなって、また大きくなって……中に……中で……壊れちゃう!エイム、僕、壊れちゃう!」
我を忘れて嬌声を上げるレオンがあまりにかわいく美しくて、うらやましくて、我慢できずにナディはレオンの唇を奪った。
「んぐっ!ひあ!」
そして、ひとしきりレオンの熱い吐息を味わうと、今度はエイムの唇をナディは奪った。
「だめ、ナディ。だめ、エイム、僕を見てて!僕、飛んじゃう。僕を放さないでぇ!」
焦らすようにナディがエイムの唇を解放すると、レオンはエイムに四肢でしがみついた。
「飛ぶ、飛んでっちゃう!ひ、ひあひいいぃぃぃあ!」
しがみついていたレオンの手足から力が急に抜け、今度はガクガクと激しく痙攣させたかと思うと、ぐったりとなって、気を失っていた。
「大丈夫だよ。お姉ちゃんが女の悦びを知っただけだから。」
カラダを痙攣させているレオンを心配そうに見守るエイムにナディはそう教えた。
「昨日の今日で。これって。お姉ちゃんの身体、きっとお兄ちゃんをずっと求めてたんだよ。すっごい。いいなぁ……」
ゆっくりとレオンの身体から離れると、エイムはそっと毛布を掛けた。
「お兄ちゃん、まだ満足してないよね♡ね、今度は、ナディの身体を征服して。私にも女の悦び、早く教えて♡」
そして、またランタンの灯が消えるまでナディのおねだりは続いた。




