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魔装変身 レビルオン  作者: 川端 大夢


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レオンの初夜♡ (2)

「あら、エイム君、いらっしゃい。」


 レオンの実家に行ったエイムを出迎えてくれたのは、家事をしていたマイアだった。


「レオンなら部屋よ。さっきから一人で何やらバタバタやってるわ。何かあった?」


「いや、特になにも。荷物まとめるからと言って出て行ったんで、手伝いと迎えに来ました。」


 レオンの家は、同じ敷地の中で、教会とは別の棟になっていて、入ってすぐの廊下の一番奥にあるのがレオンの部屋であった。


「レオン、手伝いに来たぞ。」


「女の子の部屋に、返事を聞く前に入るな!」


 レオンの部屋の中からいきなり枕が飛んできた。いや、生まれてこの方、レオンの部屋に入るのに声をかけた記憶すらないエイムが、だったら部屋の扉ぐらい閉めておけよと思っていたら、部屋の扉がものすごい勢いで閉まった。


「あらあら、ごめんなさいね。結婚式の前日あたりから、何やら情緒不安定で、うちの娘……」


 呆然と立ち尽くすエイムに、笑顔のマイアが寄ってきて話し始めると、いきなり勢いよくレオンの部屋の扉が開いて、そこから出てきたレオンに、エイムは部屋に引っ張り込まれた。


「ここ、座ってて。」


 エイムをベッドに座らされると、またそそくさと荷物の整理を始めた。そんなレオンをしばらく見てから、エイムは話し始めた。


「そんなに無理して今日することないぞ。」


 そのエイムの言葉に過敏と言えるほどの超反応で、レオンが立ち上って振り返った。


「なに?!今日、僕との初めての夜がいやなの?僕、無理なんかしてないよ!」


「ちがう!今日、荷物を全部持っていくことないって言ってんの!」


「あ!」


 レオンが顔がまたみるみるうちに赤くなった。そして、またうつむいた。ナディの言ったいっぱいいっぱいの意味が、やっとエイムにも分かってきた。


「おまえも、ここに座れよ。」


 エイムがそっと手を伸ばして、レオンを導いた。それに素直に従って、レオンはエイムの横に座った。


『ごめん。』


 エイムとレオンの言葉が重なった。互いに向き合って目を合わせた。そして、二人して笑いだした。


「僕たち変だね。」


「あぁ、変だな。」


 そして、また笑った。ひとしきり笑って、再び目を合わせて、どちらかともなく引き寄せられるようにキスをした。どちらからともなく互いの体温を確かめるように抱きしめ合って、そうしてもう一度、熱くなっていく体温を唇から感じあうような長い長いキスをした。


「僕は何で今まで素直にこうしなかっただろう。エイムがね。三日も目を覚まさなかったときにね。僕、すごく怖かった。自分の身体の半分がなくなっちゃうような気がして。自分が自分でいられなくなるような気がしたのに。あの時、分かったはずなのに。」


 ベッドについていたエイムの手に、そっとレオンは手を合わせた。


「おまえ、小さい頃に俺とナディが喧嘩したときに、俺がだめだったら、私がお嫁さんにしてやるって言ったんだって?その話を聞いたときに俺も思ったことがある。」


 レオンの顔がまた赤くなった。

 レオンが合わせてきた手に、エイムはもう一方の手も重ねた。


「あぁ、こいつ、俺なんだって。親父がいなくなって、母さんが死んで、一人で生きていかないとって、必死になってかっこつけてた俺がどこかで置いてきた俺なんだって。」


「エイム……当たり前じゃないんだよ。きっと。ずっと変わらずに一緒に居られることって。だから、気付いたことには努力して変わらなきゃ、そうしなきゃ、ずっと一緒に居られないんだよ。」


「そうだな。」


「僕は決めたんだ。もう絶対エイムから離れないって。どこに行くって言っても付いていく。危ないとこ行こうとしたら殴ってでも止めてやるって。」


 だんだん言うこともいつものレオンらしくなってきた。


「殴られないように気を付けるよ。」


 そして、二人でまた笑った。いつものエイムといつものレオン。ただずっと近くなったように思う関係。


「さ、片付けて帰ろうか?ナディが待ってる。」


「うん。その前に一つ、お願いしていい?エイムの家に行くと、僕、また緊張するかもしれないから。」


「なんだ?」


「もう一回、キスして。今度はナディの言ってたつよーいやつ。それ、僕、まだ一度もしてもらってない。」


 そうねだってきたレオンは、エイムの知るレオンの中で一番かわいく、愛おしく思えた。




「お騒がせしました。レオン、連れて帰ります。」


「あらあら、もう帰るの?そうかナディちゃんが、晩御飯用意してくれてるものね。」


 そう言い終わるとマイアの目は、しっかりと繋がれたエイムとレオンの手の方を向いた。それに気付いたレオンが手を放そうとしたが、エイムがしっかり握って離さなかった。


「ふふ。やっぱりエイム君に任せておけば、うちのレオンも安心ね。しっかり鍛えてあげてね。まだまだぜんぜん不束者だけど、磨けばレオンも、ナディちゃんに負けないくらいの美人にきっとなるから。」


「お、お母さん!」


 慌てるレオンを、そっとマイアは抱きしめた。


「レオン、一生懸命、幸せになりなさい。エイム君ならきっと大丈夫。あなたが女の子として生まれてきた喜びをきっと教えてくれる。そうなることをお母さんもずっと神様にお願いしてるから。」


「うん。ありがとう。お母さん。」


 エイムが手を放してやると、レオンはマイアを両腕でしっかりと抱きしめてから、自分から再びエイムの手を握った。


 そうして、レオンの実家を出て、手を繋いでエイムの家に帰っていく二人の後ろ姿を、教会から戻ってきていたゼスが声もかけずに、祝福の言葉を口にして見えなくなるまで見送っていたことを、ずっと後になってからエイムは聞いた。

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