8話 女の子に付ける名前じゃ無いよーー
「おい人間、早く起きろ」
Za-1はその声に目を覚ます、見慣れない部屋に困惑しながらも、その優秀な頭脳で最後の記憶から現状を即座に理解する。
「えっと、おはようでいいのかな」
「お前、どんな感性してるんだ」
そこにいたのはドラゴンでも人でも無い、その間、ハーフと言ったら所だろうか。背丈や体格は人間とほぼ同じで、違う所があるとすればそれは頭の横から角が生えている事ぐらいだろうか。
「え、私は普通だよ?」
「あーー、お前さては無自覚だな。いいか、ここは敵の本拠地だぞ、なんでそこまでいつも通りの態度でいられるんだ?」
Za-1は少し考える様に目線を逸らすと、
「私、これでも落ち込んでるんだよ? もう何すればいいか分かんないし」
彼女は本当に落ち込んでいる様で、どこかいつもの覇気がない。彼はその様子に見かねて、
「俺の名はノヴァ。人間、お前の名は?」
「Za-1だよ、、、、、、、」
ノヴァと名乗った彼はZa-1の名を聞いて難しい顔をした後、
「Za-1、それ名前じゃなくて番号だろ」
「うん、そうだよーー」
ノヴァは何かスッキリしない表情で言う、
「そりゃ、ちと言いずらいな」
「じゃあ名前でも付ける? この島にいるうちなら私をZa-1と呼ぶ人はいないからね」
彼は彼女の方を思案顔で見つめる。少しの間だが2人の間に沈黙が降りてきた。
「ゼアルってのはどうだ?」
「いいけど、女の子に付ける名前じゃないよーー」
ノヴァの付けた新しい名前に対し、言葉では苦言を言う彼女であったがその表情は嫌では無さそうだった。
※
ここはドラゴンの住まう島。危険な生き物が多く生息する危険地帯、それがZa-1改めゼアルが聞いていたこの浮遊島の印象だった。きっとその話は間違っていないだろう。だが、、、、、、、
「まさか国が作られてるとは思わなかっただろうね」
彼女の目に映っていたのは多種多様な生き
物や種族が仲良く話し合い、遊び合っている光景であり、酒を飲んだり喧嘩したりと、き人間と変わらない生活をしていた。
その街並みはかなり発展しており、地面は綺麗に整えられ石のタイルが敷き詰められている。
また、建造物も石材や鋼鉄で作られた物がほとんどで、帝国ほどではないがかなりの技術レベルだと言える。
「すごいねっ、貨幣まであるんだーー」
「あぁ、それは父上の発案だな」
ノヴァはとても誇らしげにしている、自慢の父親なのだろう。
「それであなたのお父さん、あの漆黒のドラゴンは何処にいるのーー?」
「ーー知ってたのか?」
「いや、勘だよ。雰囲気似てたからもしかしてと思って」
ゼアルは雰囲気が似ていたと言うがこれは正確には違う。正確には喋り方や呼吸の癖、魔力の波形を見ていた。
「女の勘ってやつか?」
「女の勘ってやつだよ」
2人は笑い合う、遠慮なく物を言うノヴァと変わり者のゼアルは案外、相性がいいのかも知れなかったーー。
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