7話 1人全面戦争
いくつもの魔法陣が空中に現れ、余裕で3桁は超える魔法の嵐が Za-1とアルターに襲いかかる。
彼女は最初、アルターのスピードを活かし避け切ろうとしていたが、放たれた魔法の嵐がホーミングしてきた事でその考えを捨てた。
「MC掃討殲滅用魔装・ブレーザー」
今回呼び出した魔装は、俗で言う機関銃に値する物種だ。最新鋭の技術により、とんでもない強化をされたそれは燃費さえ気にしなければ最高位の破壊力と制圧力を誇る最強の装備だった。
「さぁっ、全面戦争だよ!」
全方位からホーミングしてくる魔法を全て把握しているのか、最適なルートで移動し的確な射角での面射撃を行っている。まるで軍隊同士の戦争にも見えるが、これは人とドラゴンとのタイマンだった。
『まさかこれを真正面から防ぐか、人間の癖に良くやるのう!』
「まだまだぁ!」
炎の玉、雷の槍、風の矢、氷の雨など、それらはバラバラに、しかし確実にZa-1の乗るアルターへと襲いかかる。
Za-1の額から顎にかけて汗が垂れる、頬は上気し、真っ白で長い髪は魔力を帯び赤みを帯びていた。
ーーやれるよっ、まだ行ける!
状況はZa-1の防戦一方、新魔装の弾幕と彼女の運用技術を持ってしてもこの状況を変えるには決定打が必要だった。
「本当は使うなって言われてるけどっ、しょうがないよね!?」
Za-1はその赤い瞳に魔力を灯す。息は徐々に荒らくなるがそれに伴い、全能力が上がっていく。
『少し早くなった所で無駄だと思うがのう』
さっきと同じ様に、ホーミングしてくる魔法の嵐を打ち落としていく。だがさっきまでと違い、そのスピードは段違いだった。
だが足りない、さっきから一向に近づけていなかった。
「やれるよっ、やらなくちゃ、、、、、、、、勝たない私に意味なんてない!!」
彼女には珍しく辛そうな顔でそんなことを言う、
また一段と機体のスピードが上がる、それと共に彼女への負担も大きくなり、その瞳に宿す魔力の量も増えていく。
『愚かよのう人間は、これだから我は嫌いなのだ』
そこで一気に漆黒のドラゴンから放たれるプレッシャーの量が膨れ上がる。
次の瞬間、世界を暗闇が覆い音の無い空間を作り上がった。
「なっ、、、、、、、」
『少し大人しくせんか、後で話は聞いてやるからのう』
その暗闇に包まれた彼女は意識を手放した。結果アルターは停止し漆黒のドラゴンの手のひらへと受け止められる。
『我が眷属たちよ、忌々しい人間共を追い返せ』
その命令に従い、どこからともなく現れたドラゴンたちがセレスティアル帝国の船に襲いかかる。Za-1とアルターのいない彼らはドラゴンにとってなんの脅威でもなく、あっという間に墜落していった。何とか生き残ったのは魔導戦艦フリューゲルや一部の船だけになる。
この惨敗を機に帝国では魔導式人形戦術機の開発、そして魔導調整体の実験が加速していく。
Za-1とアルターの残した功績と実績はそれだけ大きい物だったのだーー。
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