4話 楽しみだね
澄み渡るほど透明で美しい空が広がるこの空域には強大なドラゴンの住まう天空の島がある。
それは大地と呼んでも遜色ないほどの広大な土地と豊富な資源を内包しており、この土地を手に入れる事が長年の帝国の目標だった。
群船国家アルカディアから北に2000キロ地点には今、セレスティアル帝国の国章がついた魔導駆逐艦やら魔導戦艦が複数浮遊し、美しいフォーメーションで待機しているーーその中にはZa-1も乗っている魔導戦艦フリューゲルの姿もあった。
そのフリューゲルの中にはアルター専用の整備室兼、格納庫があり、そこで日々、機体の改良改善や新魔導兵装の開発などが行われていた。
魔導式人形戦術機アルターは人類初の人形兵器であり、今現在では唯一無二の性能を誇っている。その為、整備・管理できるものも少なく、専門の整備室も用意されているがアルター専門の技術整備班のスタッフたちの中では1人しかその詳しい整備・管理方法を知る者はいなかった。
「やぁ、Za-1。今回のアルターは特別仕様! 新しく魔導兵装も幾つか呼び出せる様にしといたから確認よろしくやね」
そして彼女がその1人であり名前はメアリと言い髪は灰色のボブでツナギによく似合っている。
「あ! ほんとだっ、メアリありがと〜〜!!」
Za-1が電子パネルを操作するとアルターの魔導兵装の欄に幾つかの新しい物が追加されていた。
「これが私の仕事やからね、要望が有れば新システムでも新魔導兵装でも言われればなんだって用意するやね。だから絶対に帰って来いや」
彼女の真剣な言葉に対してZa-1は微笑みを返しながら冗談を言う。
「夕飯には間に合う様に帰るね?」
「まだ初陣しか経験していない癖にどの口で言ってんのやら」
メアリは呆れた表情で苦言を言うと、そのままその場を去って行った。
※
『ーーセレスティアル帝国に仕える誇り高き戦士たちよ、これより我々は古くからの因縁の一つに区切りを付ける。勇猛で勇敢なる同士たちよ! 死を恐れず戦い、国に奉仕せよ!!』
この放送は魔導戦艦フリューゲルの艦長から発せられたものだ。また国の方針なのか、この国では良く聞く口上だった。そして本作戦に参加する全ての船に流れているーーそれは魔導戦艦、魔導駆逐艦以外にも、魔導式戦闘機を保管・発艦をする為の魔導母艦など様々だ。
『ーー戦闘開始はこれより1時間後だ、良く準備しておけ』
そんな艦長の艦内放送が流れるのをZa-1はアルターのコックピットで聞いていた。
「ドラゴンかぁ〜〜、楽しみだねアルター?」
もちろん彼女の問いに返事はこない。だが次々と現れる電子パネルはアルターのやる気度を表している様だった。
「所長やメアリはなんだか心配している様だったけど」
その間にも電子パネルの重要項目に目を通しサクサクと処理していく、
「何を心配してるんだか、私は戦う為に存在するのにね、、、、、、、、」
彼女の太ももの上のモキュが揺れる、それはまるで心配している様だった、
「大丈夫、私とアルターに敵う敵なんていないよ」
心配してくれたモキュに対して、嬉しそうな微笑みを見せる彼女はドラゴンと戦う為の準備を淡々と進めるのだったーー。
社会人ですが今後とも高頻度で投稿できるよう頑張りますので、面白かったらブックマーク、下の評価よろしくお願いします!!