3話 魔導調整体
遥か大昔、今では全く想像のつかないことだが人とドラゴンは共存していた。
ドラゴンの強大な力は人々を外敵から守り、山を砕き大地を割った。
その庇護により繁栄した人類は、お礼にドラゴンの好む金銀財宝を送っていたという。
だがこの関係はいつまでも続かない、何故ならそれは人間が強欲で傲慢な生き物だったからだ。
そして強大なドラゴンの庇護の元、十分に繁栄した彼らは最悪の罪を犯すーー。
それは愚かにも金銀財宝に目が眩んだ人類がドラゴンを殺しそれを奪おうとした事だった。
結果としては人の力では強大なドラゴンに敵わず未遂に終わったが、ドラゴンからの信頼を失うには十分な行いだった。
この事件を期にドラゴンは人類を見限り天空へとその生活域を移したーー雲の上に巣を作りそれはやがて島となり大地となる。
そして人類はドラゴンの庇護を失った事で様々な災厄が降りかかるがその反面、技術力は大きく発展する事になった。
「実に皮肉な話だと思わんかZa-1よ」
ここは帝国の属国である群船国家アルカディア、その中心部にある特級魔導研究所。この国で1番の施設が揃っているここでZa-1は月次検査を受ける為そこに訪れていた。
「その話はもう良いから、それより結果は出たの?」
「あぁ、出たぞ。今そっちへ送った」
この研究所の所長からデータが送られてくる、
すると彼女の目前に電子パネルが現れた。そこには今回の検査結果がびっしりと並んでいて、一番最後の欄にはこう書いてあった。
《残り稼働時間・87600時間》 これは魔導調整体である彼女Za-1が稼働できる総時間であり約10年に値する数値だが決して長い訳では無かった。
「そういえば、ドラゴン討伐に参加するのか?」
「うん、行くよ」
研究所を後にしようとする彼女を呼び止めたのは所長だった。
「なら、用心すると良い。お前の思っているより奴ら強靭で強大。今まで人類は一度も奴らに勝ったことは無い、今回のドラゴン討伐だってかなり無茶な事なのだ」
「へぇ〜〜、それは楽しみになってきたよっ」
自分が負けるとは一切思っていない彼女は強大なドラゴンと戦うのが楽しみになり軽快なステップで研究所から出ら飛び出す。
そんなZa-1をこの研究所の所長である男は意外にも心配そうな顔で見つめていたのだったーー。
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