1話 さぁ行くよ!!
ここは地上に生き物が住めなくなった世界。草木は枯れ果て、とある毒に汚染された大地は真っ黒に染まっていた。
だが、人類は生きている。魔学力を急激に発展させ生活圏を地上から空中へ移して。
※
ーー刻歴1000年
見渡す限りの大空。地面は無く、切れ目の無い真っ白な雲を切り裂きながら、とある船が突き進んでいた。
艦長と思わしき男が指示を出す。この司令室でこの男より偉い者はいない。この男の前には様々な情報の書かれた電子パネルが浮遊しておりその顔はよく見えない。
「魔導戦艦フリューゲルはこれより敵戦艦との戦闘に入る」
青色の魔力が後部ブースターから噴射され、鉄の船は前進する。
「魔導砲スタンバイッ、標的、敵艦隊主砲!!」
「ーー了解、魔導砲スタンバイッ、標的、敵艦隊主砲!!」
艦長の指示により格オペレーターが艦を操作している。戦艦の前方に備わった魔導砲の中で主砲と呼びれる1番大きい魔導砲に魔力が充填されていく、
「ーーまもなく射程圏内ですっ」
レーダー関連のオペレーターから報告が聞こえ、
「今だっ、撃てえ!!」
魔導戦艦フリューゲルから砲撃が放たれる、
射程ギリギリでの砲撃、これは敵艦主砲の中心部に見事に命中したかに思えたが、
「防がれましたっ、敵艦、魔力分散シールドを展開っ」
砲撃はその前面に展開された半透明な盾に防がれる、
「砲撃くるぞっ、こちらも魔力分散シールドを展開っ」
「ーー了解っ、魔力分散シールドを展開っ」
撃っては守り、撃っては守りの繰り返し。この遠距離からの撃ち合いに意味など無かった。
「仕方がない、魔導式人形戦術機を出せ。全世界へのお披露目会だ!!」
※
魔導式人形戦術機は体長15メートルの人形ロボットだ、ただし動力は魔力であり、胸部分は中に入る事ができコックピットとなっている。
そんなコックピットに1人の少女が座っていた。
その少女の肌は病的に白く、色素が薄い、髪も同様に白かったが毛先は少し黒くなっている。
「やっと出番が来たよ、まったく遅いよ、待ちくたびれちゃったよ」
彼女は次々に現れる操作パネルに指をなぞらせる。
「ねぇ、モキュもそう思うでしょ?」
その問いに、彼女が太ももの上に置いていたスライムの様な生き物は“うん”とでも言う様に体を揺らす。
そこで、
『こちら司令室よりZa-1へ、こちらの準備は整いました。あとはそちらのタイミングで出撃して下さい』
「了解っ、Za-1アルター、、さぁ行くよ!!」
彼女は右と左それぞれにある操縦桿を前に倒す。魔導式人形戦術機アルターは全身のブースターを起動させ滑走路から飛び立った。
その直線的なスピードに特化させた白い機体のフォルムは細く鋭い。まるで放たれた矢の様に突き進むアルターはそのまま敵艦隊へと急速に近づいて行くのだったーー。
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