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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

作者: チビドラゴン教の教祖
掲載日:2023/10/17

           絵        


彼は画家だった。

彼が描く絵は、少しおぞましいものだった。

彼は巨大な人に近い形をした蛸の怪物ばかり描くのだ。

彼はそれを「クトゥルー」と呼んだ。

彼はそれを描くことに夢中だった。

彼の親は彼を心配して精神科に連れて行った。

まだ青年の彼が不気味な絵を描き続ける事が心配だったらしい。

彼は診察室で医者と親に、クトゥルーについて語った。

結果、親は恐怖のあまりっ失神し、医者は気分を悪くして少しの間休暇を取る羽目になった。

彼が何を語ったのかはわからない。

私は彼の目を見つめてみた。

彼が発狂しているように思い、少しぞっとした。

それから1か月ほど経つと、彼は自室でクトゥルーの絵を描き続けるようになった。

クトゥルーの絵は、だんだんと表現が詳細になっていた。

彼の家のポストには、宗教勧誘のチラシが届いていた。

それは「ダゴン秘密教団」という教団からだった。

中には、その教団から手書きで書かれているものもあった。

それから2週間ほど経つと、彼の部屋から笑い声が聞こえるようになった。

たまに彼は奇声を上げる。

その奇声は呪文めいたものだった。

「いあ!いあ!くとぅるふ!るるいえ・うがふなぐる・ふたぐん!」

意味は分からないが、ぞっとするものだ。

ある日、彼は夜中に家を飛び出した。

そして4時間ほどすると、また家に帰ってきた。

彼は金色のネックレスをかけていた。

出かける前にはかけていなかった。

そのネックレスには、「クトゥルー」の印章が刻まれていた。

彼はそれから毎夜、どこかに出かけて行った。

そして1か月後、彼は失踪した。

家のポストには、彼からの書置きが入っていた。

そこに書かれていたことを今でも思い出す

思い出したくない。

狂気に堕ちた人間の最後の手記は、直視できるものではなかった。

悍ましい。

恐ろしい。

あんなものが存在していいはずがない。

忘れられない。

まだ彼の奇声と笑い声が耳に張り付いている。

彼は狂気に堕ちていた。

彼は手記の中でこう語っていた。

「僕はクトゥルーの名のもとに還るため、ル・リエーに行く」

ル・リエーとは何か私は知っている。

彼がよく語ってくれたからだ。

海底に沈んだ、尖塔の並ぶ都。

恐ろしい。

私は彼の後をたどる気はない。

彼はもう人間じゃないだろう。

怖ろしい。

悍ましい。

彼とはまた星辰の揃った時、ル・リエーの浮上せし時に会うことだろう。


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