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厄星討伐ーエピローグ2ー

SIDE:美月


伊織くんたちが立ち去るのを見ながら私はため息を漏らす。

色々と濃い経験をしてきた自信があるけど、今日ほど緊張したことはなかったかもしれないわね…。


星詠みの巫女から伊織くんが鍵になるとは聞いていたけど、まさか龍種と契約するとは思わなかった。


個人的には伊織くんの契約している妖魔が戦況を動かすと予想していたのだけれど、それ以上の事が起きてしまった。

これはまた色々と根回ししないとダメかしら?


「お疲れ様です、美月」

「えぇ、六花ちゃんもお疲れ様」


これから発生するだろう後処理について気を重くしていたら、それが顔に出ていたのか六花ちゃんが声をかけてきた。


「それにしても、今回の厄星討伐に伊織くんが参加してくれて良かったわ」

「そうですね、あの場で久遠伊織君が龍種と契約していなければ、どういった結末になっていたか想像できません」


そうなのよね。

伊織くんがあの龍種と契約してくれたから割とすんなり厄星討伐が終わったけど、あの場で契約できていなかったらもっと時間がかかっていたし、被害ももっと出ていたと予想できる。


「本当に伊織くんが居てくれて良かったわ…」

「娘から久遠伊織君についてはよく聞いて居ましたが、想像以上でした」

「そんなに白雪ちゃんが伊織くんの話しをするの?」


そう少し疑問に思ったが、伊織くんと居る時の白雪ちゃんは凄く饒舌なので少し想像しやすいかもしれない。


本当に伊織くんが近くに居る時と居ない時で態度が正反対なのよね~。


「えぇ、毎日のようにしていますよ。いつもは白雪が大げさに話しているだけかと思いましたが、今回の活躍をみるとあながち間違いではないのかもしれません」

「なるほどね~」


龍種と契約したインパクトが強かったが、それ以外でもあの二人の妖魔は凄い活躍をしていた。


九尾は私や六花ちゃんですら読み取れない妖術を操り、猫型の妖魔はその身体能力だけで黒龍を仰け反らせていた。


前から伊織くんについて少し疑問を感じていたが、それが今回の討伐で確信に近づいた。


「白雪には、頑張って貰わねばなりませんね」

「あら、六花ちゃんは認めるのね?」

「元々退魔士の世界に入ったなら構わないと白雪には言ってあります。それに少しだけしか話しは出来ませんでしたが、凄く性格の良い殿方だと思いました」

「確かにそうね」

「それに……」


そこで言葉を区切って私の方を見つめてくる。

多分、六花ちゃんも私と同じ疑問(・・・・)を感じ、そして同じ結論(・・・・)に至ったのね。


「えぇ、間違いないと思うわよ」

「そうですか、では白雪にはなおのこと頑張ってもらわねばなりませんね」

「秋月家としては楓ちゃんに頑張ってもらおうかしら?」

「おや、美月はアプローチしないのですか?」


さてどうやって楓ちゃんを炊きつけようかと思っていたところで六花ちゃんがそんなことを聞いてきた。


「私?私はいいのよ、それに歳も凄く離れているわ」

「退魔士の世界で歳は関係ないと思いますが」

「伊織くんはいい人だと思うわよ?でも残念ながら私の好みとは外れてるのよね~」


確かに伊織くんのように優しい男性は退魔士の中で人気が高いと思う。

でも個人的にはもっとグイグイと引っ張ってくれる男らしい人の方が好きなのよね~。


はぁ、何処かに居ないかしら?


「支部長、撤収準備が完了しました」

「あら、ありがとう。それじゃあ私たちも帰りましょうか」


この後発生する事後処理について気を重くしながら、私は帰路についた。







△▼△▼△▼△▼△▼△▼



SIDE:春名 菫


今回の厄星討伐で、噂の男の退魔士に会うことが出来た。


久遠伊織、そいつについてお母さんから聞いていたけど、話しに聞いていた以上にとんでもない人だった。


何がとんでもないって、あんな恐ろしい九尾と契約していることだ。

ホントに、本当に怖かった…。

私が退魔士になってあそこまで明確に死を感じたことはない。


「よく死ななかったわね私」


それに龍種とも契約を果たした。

その光景を目の前で見ていたが、久遠伊織に対する印象がガラリと変わった。


最初は、なんか頼りなさそうな男。

今は、ただただ意味の分からない化け物。


本当に意味が分からない。

なんで少し話しただけであんな龍種と契約することが出来るのだろうか?


そんなことを考えながら歩いているといつの間にか家についていた。


「ただいまー」

「あら、お帰り菫」

「え?お母さん?」


大学に通っている間だけ、私は一人暮らしをしている。

だから、お母さんが家の中にいてビックリした。


それにお母さんは今日予定があるから討伐に来れないって話しだったのに、どうしたんだろう?


「今回の厄星、どうだった?」

「あー、厄星ね。えっと」


来れなかったとはいえ、厄星の事は気になるのかな?

私は今日見たことをお母さんに伝える。


「で、最後は久遠伊織が契約した龍が厄星を始末したわ」

「なるほど……。久遠伊織は龍種と契約したのね?」

「うん?えぇ、契約してたわ。目の前で見たもの」

「そうなのね」


そう言いながら何故か面白そうに、満足そうな顔をしている。

私のお母さんなんだけど、よく何を考えてるのか分からないことがある。


今も多分私には分からない何かを考えているんだろう。


「菫、今後は出来る限り彼と一緒にいるようにしなさい」

「え、なんで?」

「おそらく、今後は彼を中心に東京支部が回るわ。だから、彼の近くに居て損はないと思うの」

「あー、なるほど」


その言い分は確かに分かる。

あれだけの妖魔と契約している退魔士で、しかも男だ。


多分色んな勢力が彼と接触しようとするだろう。

今のところ彼と一番親密なのは冬木家かな?


「それじゃあ私は帰るわね」

「え?あ、うん。分かった」


やっぱり忙しかったのかな?

少ししか話していないがお母さんはもう帰ると言い出した。


「あぁ、そうそう」

「なに?」


玄関まで見送りをしていると、お母さんが思い出したかのように話しかけてきた。


「今後、久遠伊織について報告をお願いしても良いかしら?」

「報告?」

「えぇそうよ、今後彼を中心に東京支部が回るって話しをしたでしょう?でも私はあまり東京支部に入れないからどうしても情報が遅くなってしまう。だから、近くに居れる貴女に報告をお願いしたいの」


確かにお母さんは他の仕事があったり、活動拠点も東京じゃないのでいつも忙しそうにしている。


「なるほど…それじゃあ報告するようにするわ」

「ありがとう、お願いね?」


そう言いながらお母さんは帰っていった。


その後ふと思う。

九尾に忠告されている状態でどうやって近づこうかと。


あの九尾がどういった感性で動いてるのか分からないけど、もし次に九尾の癇に障るような事があれば……。


「ヤバい、どうしよう……」


もしかして自分は、今から命をかけた綱渡りをしなければいけないのか?


そんなことに気が付いてしまった。


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