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呼び出し

妖狐襲撃から次の日、伊織はいつも通り大学へ行くための準備をしていた。

妖魔に襲われる事が日常になっている伊織は、例え妖狐に襲われようとも日常の一環でしかなかった。


これが一般的な退魔士であれば妖狐に襲われた瞬間、もしくは撃退した時に組合へ連絡をいれるのだが伊織はそのことを失念していた。


「ん?なんだ?」


準備を進めている伊織のスマホがなった。

伊織は友達が非常に少ない、今では退魔士組合に所属しているので伊織と同じように霊や妖魔と言った存在を見ることの出来る人たちと話すことはあるが、それでも連絡先を交換した人は居なかった。


だから変わらず伊織のスマホには白雪と親の連絡先しか入っていない。

そんな伊織のスマホへメッセージが入ったのだが、そのあて先はどちらでもなかった。


「組合から?なんだろう」

「また依頼かしら?」

「ん~、そうかもしれないな」


スマホを手に取り見てみると、そこには退魔士組合と表示されていた。

伊織へ組合から連絡が来たのは依頼の時のみだった。


だからまた依頼についてかなと思いながらメッセージの中を見てみたのだが、どうやら違ったらしい。


「え~と、直ぐに組合に来て欲しい?」

「主、なにかやった?」

「いや、なんにもしてないと思うけど...」


特に呼び出される理由が思いつかなかった伊織は首を傾げる。

シアナからは何かやらかしたんじゃないかと言われたのだが、伊織はいつも通りの日常を送っていただけだ。


そう、妖魔に襲われる日常を。


「妖狐を退治したことについて詳しい説明を聞きたいので組合に来て欲しい...か」

「あら、昨日の妖狐の事なのね。そういえば組合から注意喚起とか来てなかったかしら?」

「あ、確かに来てたわ。なるほど、それを退治したから話しが聞きたいのかな?」

「多分そうだと思うわよ」


いつもクシナやシアナが妖魔を倒すと、その倒した情報が退魔士カードを通じて組合へ送信される。

その情報を元に伊織へ報酬が振り込まれていた。


そして今回伊織が退治した妖魔の情報も、もちろん組合へ伝わっている。

注意喚起を出すほどの妖魔を退治したことで、伊織に詳しい説明をしてもらいたいと思いメッセージを送信したのである。


「すぐ来て欲しいって書いてあるけど、俺これから大学があるんだよな~」

「大学が終わった後じゃダメなのかしら?」

「ん、おサボり」

「ん~、出来れば講義は出たいし、サボりはしたくないな」

「ん、真面目ちゃん」

「シアナ、どこでそんな言葉覚えたんだ?」

「ドラマでやってた」

「そうか...」


大学と組合を天秤に掛けながらどうするか悩んでいた伊織に対してシアナがそう言ってきた。

シアナはよくテレビを見ているので、新しく覚えた言葉を使いたがる事がある。


それは悪くないことなのだが、たまにとんでもない言葉を突然言い出したりする。

教育に悪いので少し規制するべきか伊織は真剣に悩みだした。


「とりあえず返信するか。大学があるので終わった後でもいいですか...っと」


極力講義に出たいと考えていた伊織は組合へそう返信した。

すると直ぐに返信が返ってくる。


「はや!えっと、大学については出席扱いにしておくので問題ない?え?どういうこと?」


その返信を見たが伊織は意味がよく分からなかった。

なぜ組合がそんなことを決められるのか疑問に思ったのだが、メッセージには続きがあり謎のリンクが貼られていた。


「えっと、は?」


リンクを開いてみると、組合がお勧めする大学とその理由が書かれていた。

大学一覧の中に伊織の通っている東帝大学の名前もあり、そこを押すことで詳細が表示された。


そこには東帝大学は組合員の一人が理事長を務めているので、学生が退魔士である場合は仕事による融通が効くと書いてある。


それを見て伊織はふと思い出した。

そう言えば白雪も組合の仕事でよく大学を休んでいるが、特に単位に影響していないことを。


「なるほど、だから白雪は休んでも平気だったんだな」

「へ~、あの大学って退魔士組合が絡んでるのね」



伊織がスマホを覗き込んで黙ってしまったので、当然クシナとしては内容が気になった。

ただ声を掛けるのではなく伊織の後ろから体を密着させ覗き込むようにスマホを見ていた。


「どうやらそうらしい、あと、背中に当たってるんだけど...」

「もう主様、当ててるのよ」


当然そんなことをすればクシナの霊峰が伊織の背中へ接触することになる。

そのことを離れて欲しいという意味も含めてクシナに伝えたのだが、クシナは無敵だった。


そしてそんな様子を見たシアナはお得意の言葉を放つ


「主とクシナがえっちっち」

「うぐ、違うからなシアナ?」

「ん?」


断じて違うと伊織はいうのだが、器用なことにシアナは無表情ながらもとぼけた顔をしていた。


「でもここまで言われたら行くしかないよなぁ」

「そうね、言った方がいいでしょうね」

「おサボり?」

「サボりとは少し違うかもしれないけど、今日は大学には行けなさそうだな」

「ん、パンケーキ...」

「はいはい、時間があったらな?」

「ん!」


どうやらシアナは昨日食べたパンケーキが忘れられないらしい。

多分組合で説明が終わった後はカフェに行くことになるだろうなと思いながら、伊織は組合へと出向くことにした。


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