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アイスを食べよう

クシナへのマッサージを行っている伊織だが、かなり疲れを感じていた。

ブラッシングをして、シアナへのマッサージも行っていたので腕に疲労が溜まっている。

しかしクシナの霊力が増えれば、それだけ自分の安全にも繋がるので気を抜かずに頑張っている。

そして三十分程マッサージを行った。


「っと、こんな感じでどうだ?」

「凄いわ主様、やっぱり霊力が増えてるわ。あら?」


自分の体を見ながら霊力の上昇を感じて居たクシナであるが、ふと自分の尻尾が目に入った。

先程伊織にブラッシングをしてもらったので凄く良い毛並みになっていたのだが、明らかにマッサージを受ける前と比べるとさらに毛並みが良くなっている。


「主様!尻尾が凄いのよ!触ってみて?」

「ん?おぉ、めっちゃ触り心地いいな」


クシナの尻尾はサラサラのモフモフで触っていてとても気持ちが良かった。

これで枕を作ったらどれほど気持ちよく寝れるだろうかと一瞬考える。


「ん、主。私のも触ってみて」


それを見ていたシアナが羨ましく感じたのか、自分の尻尾も触ってくれと伊織にお願いする。


「いいぞ。お~、シアナの尻尾はツヤツヤだな」


シアナの毛並みも良くなっており、ツヤツヤのスベスベしたその感触が中々癖になると感じた。

しばらく二人の尻尾の感触を楽しんだ伊織は、夕飯の支度を始めた。


その間にクシナは瞑想を行い、シアナは体を動かしながら自分の増えた霊力を体に馴染ませていく。


「ん、今ならあの化け物もよゆー」

「これでもっと主様が安全になるわ」


そんな風に二人が過ごしていると、夕飯が出来上がったので三人で食べ始める。

伊織は疲れを少し感じていたので今日は簡単な夕飯だった。


「あら?これは私が最初に食べた奴かしら?」

「あぁ、簡単な奴で申し訳ないけど」

「そんなこと無いわよ、思い出深いわ」

「ん、主のご飯は何でも美味しい」


二人は今まで伊織が作ったご飯をマズイと言ったことは無い。

伊織と契約する前は料理を食べる機会などほとんど無かったので、例え簡単な料理だったとしても二人にはとても美味しいものに感じていた。


パクパクといつも美味しそうに食べる二人を眺めながら伊織も食事を続け、食べ終わった後は少しゆっくりとした時間を過ごす。

ソファーに座りながら二人と話しているとき、ふとアイスが食べたいなと伊織は思った。


「そういえば、二人ってアイスは食べたことあったか?」

「アイス?確か食べたことないわね」

「ん、ない」

「そっか、じゃあ少し買いに行くか」


よくよく考えてみたら、まだ二人にはアイスを食べさせたことがなかったのでどんな反応をするか気になった伊織はコンビニに出かける事にした。


「美味しいの?」

「冷たくて甘くて美味しいよ」

「ん、冷たくて甘い...」


シアナは新しい甘未に想いを馳せているのか虚空を見つめる。

財布を持ち家から出る時、珍しく二人はブレスレットにならずそのままの姿で伊織についてきた。


「今日はブレスレットにならないんだな」

「もう時間も遅いし、そんなに人は居ないでしょう?だから主様と歩きたいの」


クシナは久しぶりに伊織の隣を歩きたかったので人型のままで居た。


「アイス...」


対してシアナはただアイスに夢中になっているのでブレスレットに変化することを忘れているだけである。

人通りの少なくなった夜道を三人で歩いて行き、最寄りのコンビニを目指す。


「そういえばこうやって夜歩くのは初めてだよな」

「そうね、凄く明るくてビックリしているわ」


クシナが人の世を見ていた時代は、まだ街灯などは存在していなかったので日が落ちると暗闇が広がっていた。

それと比べると現代は光が多いため夜道を歩きやすい。

しばらく歩いているとコンビニに到着したので中に入る。


「よし、ここがアイスコーナーだ」

「沢山種類があるわね?」

「ん、選り取り見取り」


店内には客が居なかったので、小声であれば話していても不審に思われなかったので二人と話しながらアイスを選んでいく。


「オーソドックスなバニラ味とかチョコ味、フルーツ味のシャーベット何かもあるけど、どれがいい?」

「う~ん、主様のお勧めは何かしら?」

「俺はこのカップアイスがお勧めかな」


そう言いながらハイパーカップアイスバニラ味を手に取る。

これは伊織が幼少の頃からよく食べているアイスで、初めての人にも食べやすいものだった。


「ん、フルーツアイス食べたい」


ケーキの時もそうであったが、シアナはフルーツが好きなようだ。

数あるアイスの中でもフルーツ味の物が良いと言ったので伊織はどれにしようか少し悩む。


「色々種類あるけど、これは色んな味が楽しめてお勧めかな」

「色々な味...」


そしてシアナの要望に答えるように、色々なフルーツ味が楽しめるアイスを手に取る。

その説明を聞いたシアナの瞳が輝く。


「俺はチョコ味にしようかな」


そして伊織はハイパーカップアイスチョコ味を手に取り、お会計をした後コンビニを出た。

その後家に帰るのだが、シアナは早くアイスが食べてみたいのか尻尾が少しソワソワしている。

そんな様子を微笑ましそうに眺めていた伊織の耳にペタッという音が聞こえてきた。


「ん?」


一瞬気のせいかと思った伊織であるが、再びペタッペタッと音が響く。

どうやらその音は伊織の後ろから聞こえてきている様だ。

聞きなれない音なので気になった伊織が振り返ってみる。


「はい?」


するとそこには手だけで這いずりながら近づいてくる女性の姿があった。


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