札術を試してみる
なんかPVが増えていてびっくりしたのでランキング見てみたら低いですけどランクインしてました!
ありがとうございます!
ランクインを記念して本日は二話投稿したいと思います。
こちら一話目になります。
札術というのは、まずお札を作るところから始まる。
「無事札術も使えたことだし、次はお札を作ってみようか?」
「分かった、どうすればいい?」
「まずはお札が作れる部屋に移動しよ」
どうやらこのビルにはお札を作れる部屋があるらしい。
伊織は白雪に連れられてビルを移動し、一つの部屋にたどり着く。
「ここがお札を作る部屋だよ」
「へ~、ここがそうなのか」
部屋の中に入ると、沢山の本棚と複数の机が並んでいた。
机の上には墨と筆が置かれている。
伊織たちは一つの机の前に立ち、白雪が説明を続ける。
「この筆と墨を使ってお札に術式を書き込んでいくの」
「ふ~ん、なるほど」
「はいこれ、白紙のお札だよ」
「ありがとう」
伊織はお札を手に取って席に座る。
席に着いた伊織は先ほど渡された本を開いて術式を確認する。
「まずはさっき使った火の玉の術式を書いてみようか、ここのページにある術式だよ?」
「あ、これか。分かった、書いてみるよ」
本を確認すると、術式を書いていく順番が記載されていたんで、その通りに書いていくことにする。
お札には既に特殊な処理が施されているため、書くときに特に注意することは無い。
強いて気を付けることを上げるなら、術式を間違わないように書くことだ。
伊織は真剣な表情で間違えないように集中しながら術式を書いていく。
「(真剣な表情の伊織君...いいなぁ~)」
白雪は真剣に作業する伊織の横顔に見惚れていた。
そんなことには気が付かないで伊織は術式を書き進めていく。
「っと、こんな感じかな?」
「お、出来たかな~?どれどれ、白雪先生に見せてみなさい」
「はい、お願いします先生」
伊織が術式を書き終えたので、白雪が確認する。
お札を受け取り、じっくりと眺めていくが不備は見当たらなかった。
「うん、初めて書いたのに良くできてるね。これならちゃんと発動すると思うよ」
「本当に?良かった~」
「さっそく使ってみようか?」
「あぁ!使ってみたいかな」
「じゃあさっきの訓練場にしゅっぱーつ!」
伊織と白雪は先ほど札術を試した訓練場に再び足を進める。
訓練場に入った伊織は先ほど書いたお札を取り出す。
「これに霊力を流せばいいんだよなっと」
伊織がお札に霊力を流し込むと、先ほどと同じようにお札が白い炎に包まれて燃え上がる。
それを見てそっと手を離すと、白い炎は浮かび続けていた。
「うん、ちゃんと発動してるね。成功だよ伊織君」
「良かった、ちゃんと発動して」
伊織は自ら作り上げたお札がちゃんと使えることを見てホッとする。
「霊術は使えないかも知れないけど、これなら俺でもなんとかやってけるかも」
「うん、そうだね。他にも色んな札術があるから頑張ってみて?」
「あぁ、今日はありがとう白雪。助かったよ」
伊織たちはその後訓練場を後にして、退魔士組合を出る前に中にある売店に寄っていくことにした。
「ここの売店には色んな物が売っててね?白紙のお札とかも買えるんだよ」
「なるほど、じゃあいくつか買っていくか」
売店の中を見ていくと、お札を書くための道具や白紙のお札、何に使うか分からない石など沢山の物が売っていた。
それらも気になるがひとまずお札を書く道具を含めて購入する。
「じゃあ俺はこっちだから、また明日」
「うん!また明日ね伊織君!」
白雪と別れて伊織は帰宅した。
家にたどり着き、早速札術に関する本を読んでいく。
ざっと見たときはあまり分からなかったが、よく読んで見ると妖魔を拘束する札術や自身の力を上げる札術など沢山の術式が乗っていた。
「それが今日試していた札術?の本かしら?」
「あぁ、そうだよ、読んでみてるけど結構色んな種類があって面白い」
「ふ~ん、そうなのね。でも私たちが居るからそんなの覚えなくても大丈夫よ?」
家に帰った後、人型に戻っていたクシナが伊織に問いかける。
「でもさ、いつまでもクシナやシアナに任せっきりってのも申し訳ないし...」
「もう、そんなこと気にしなくていいのよ?」
そんなことをクシナは口に出したが伊織の気遣いを嬉しく感じ、伊織のすぐそばに腰を下ろす。
「そうだクシナ、何かして欲しいことはないか?」
「どうしたのいきなり?」
「ほら、いつも妖魔を倒してくれてるだろう?そのおかげで家計も助かってるし何かお礼が出来ればなって」
実際退魔士組合に加入してから伊織の家計はかなり助かっていた。
そして伊織自身の命も守られているため、何かお礼がしたいと伊織はずっと考えていたのである。
「ん~、そうね~?」
クシナとしては当り前の事をしていたので、いきなりお礼と言われてもパッとは出てこない。
「ならそうね、最近肩が凝ってるのよ。マッサージなんてどうかしら?」
「マッサージ?そんなので良ければいくらでもやるよ」
「ならお願いしようかしら」
早速とばかりに伊織はクシナへ肩もみをすることにした。
ソファーの後ろに回り、クシナの後ろに立つ。
「よし、じゃあ始めるぞ?」
「お願いするわ」
伊織がクシナの肩へとそっと手を置きマッサージを始める。
肩を揉んでみると、確かにかなり硬い手ごたえを感じた。
「おぉ、結構凝ってるな」
「んっ、そうなのよ、人型になるようになってから、何故か肩が凝るのよね~」
「...」
伊織はその言葉を聞いて無意識に視線がクシナの胸元へと行ってしまった。
視線の先には随分と立派な装甲が取り付けられている。
確かにこんな立派な装甲があれば肩も凝るなと思いながらマッサージを続ける。
「どうだクシナ、気持ちいいか?」
「んぅ、中々いいわよ主様っ」
実際伊織のマッサージは気持ちが良く、クシナの段々と体が熱くなっていく。
しばらくマッサージを続けて、終わるころにはかなり息が上がっていた。
「はぁ、はぁ」
「だ、大丈夫かクシナ?」
「えぇ、平気よ...(とっても気持ち良かったわ...これは中々に危険ね...)」
くたっとソファーへ脱力しながら座っているクシナを心配するが、どうやら問題無いようだった。
「ん?主、クシナどうしたの?」
「あぁ、今まで少しマッサージをしていてな?終わったらこうなったんだ」
部屋から降りてきたシアナがリビングに入ると、疲れた様子のクシナが目に入ったので伊織に問いかける。
「マッサージ?えっちなやつ?」
「断じて違うぞ?」
「ふ~ん?」
シアナが疑いの目を未だに伊織に向けている。
「そうだ、シアナは何かして欲しいことはあるか?」
「ん?なんで?」
「今まで妖魔を倒してくれたお礼かな、そのお礼でクシナへのマッサージもしたんだ」
「ん、じゃあケーキ食べてみたい」
シアナは家に帰ってくると良くテレビを見ている。
どうやらそのテレビでケーキの特集をやっていたらしく、気になっていたようだ。
「なるほど、分かった。明日にでも買ってこようか」
「ん、ありがと主」
「ふぅ、やっと落ち着いてきたわ...あら?あらら?」
やっと呼吸が落ち着いてきたクシナが自分の体を見ながら首を傾げる。
「あら、なるほど?」
「どうしたんだクシナ?」
自分の尻尾を触りながらしきりに何かを確認している。
「凄いわ主様、マッサージしてもらったおかげで尻尾の艶が凄くいいのよ」
「なんで肩もみしただけで尻尾の艶が良くなるんだ?」
伊織はただ肩のマッサージをしただけなのに何故か尻尾の艶も良くなっていた。
よくわからない現象だが、クシナは上機嫌になっている。
「ん、肩のマッサージをしてたの?」
「そうなのよ、人型になるようになってから何故か肩が凄く凝るのよね~」
「ん?」
その言葉に疑問を感じたシアナの視線はクシナの胸へと注がれる。
大層立派な山が目に入ったので次に自分の胸へと視線を向けると、そこには平原が広がっていた。
下を向いても自分の足がしっかりと見える。
そのことに軽く絶望したシアナはふらふらとした足取りでクシナの元へ進む。
「あら?どうしたのシアナ?」
「ん、そんな物があるから肩が凝る。私が貰ってあげるね?」
「あんっ、ちょっとシアナ、急に触るなんてどうしたのよ?」
「こんなのがあるから肩が凝る」
「仕方ないじゃない、何故か大きいのよ」
「私には無いのに、私には無いのに...」
「(何やってるんだよ二人とも...)」
そんな二人からそっと目を離して伊織は自分の部屋に向かった。