情報屋の仕事
情報屋の仕事の一部です。
うん……おじいちゃん一体何を教えているの?
「ふむ……」
「どうしたの?スズエ」
資料を見ていたスズエに、レイはお茶を出しながら尋ねる。
「あー、ちょっと情報が欲しいって連絡があってね」
「そうなんだ。ハッキングしようか?」
「そこはもうやりました。あとは実際に見て、なんですけど……」
はぁ……とため息をつくスズエにレイはキョトンとした。
「……女性から無理やり聞き出さないといけないんですよねぇ。しかも裏社会の人」
「あー……なるほど……」
「どーしよー……女性には紳士的に聞き出せって言われたんですけど……」
どうしよう嫌な予感がする。
「……よし、男装して地下に運び込むか」
「やっぱりそうなるよねー」
この子はどこかずれているのだ。
美しい女性がバーに来ると、いつもは見かけない端麗な青年がカクテルを飲んでいることに気付いた。
「お兄さん、こんばんは」
声をかけると、彼は「こんばんは、美麗なお嬢さん」と笑いかける。その笑顔に一瞬で惚れてしまった彼女は隣に座ると、「オーナー、この子にもカクテルを」と頼んでくれた。
「お兄さん、太っ腹」
「きれいなお嬢さんにおごってあげるのは当然だろう?」
彼は長い茶髪を後ろに流しながら答える。そうして出されたカクテルを一口飲んだ。
(あ、あら……?)
飲み切る頃には、ウトウトしてしまう。そのまま眠ってしまった彼女を優しく抱えた。
「悪いね、オーナー。協力してもらっちゃって」
「別にいいさ、アトーンメント。それにしてもあんたも悪い奴だねぇ、男装して近寄るなんて」
「彼女からは聞き出さないといけないことがあったからな」
お代、置いていくよと協力料も机に置いてアトーンメント――スズエは家に帰った。
「華道、情報を持っているであろう女性を捕らえた。どうする?」
『今行く。その間に得られる情報を取っておいてくれ』
「了解」
地下に運び込んだスズエは極道に連絡を取った後、女性を起こす。
「え、こ、ここは……?」
「悪いね、少し聞きたいことがあって」
スズエが女性の上にまたがる。
「教えてくれるよね?大丈夫、痛いことはしないから……」
ニコッと笑うスズエが、悪魔のように映った。




