タカシの過去
タカシの出生です。
うちのキャラ達は基本訳ありですからね……。
「……は?あの人がいなくなった?」
おなかの大きな女性がその知らせを聞いて絶望してしまった。
彼女は水商売の女性で、妊娠してしまったのを機に実家に戻ってきたのだ。
「…………」
「ちょ、大丈夫?」
母親に慰められるが、彼女の心は暗いままだった。
彼女は男の子を産んだ後、行方知れずとなってしまった。どうやらほかの男性と駆け落ちしたらしいと噂で聞いたが、そんなことは両親の知ることではなかった。
祖父母はその子を孝と名付け、母親に代わり育てた。
小学生に上がったある日、タカシは泣きながら帰ってきた。
「どうしたんだ?タカシ」
祖父が尋ねると、「両親のいない、捨てられた子って言われた……」と涙を浮かべながら答えた。
「……お前は可愛そうな子じゃないよ」
祖母がタカシを抱きしめる。
「強くなれ。強くなって、ほかの人達を見返してやれ」
祖父の言葉に、タカシは「うん」と頷いた。
タカシから子供が生まれたと聞いた時、祖父母はうれしさのあまり泣いてしまった。
家に帰ってきた時、嫁であるスズエの腕には娘が抱かれていた。
「可愛いわね」
「抱いてみますか?」
祖父母がひ孫を抱いた時、娘を思い出した。




