レイの過去
レイさんの出生、そうなのか……。
親も親なりに理由はあったんだなぁ……(泣)。
でも、子供には愛情を注いで育てないとダメだよ……。
「……どうしよう……」
黒髪の女性が真っ青な顔をする。それもそのハズ、結婚もしていないのに妊娠してしまったのだ。
「あの男……っ!」
ギュっと、拳を握る。それもこれもすべてあの男のせいだ。
彼女はとても美しく、誰もが見とれるほどだった。それが災いしたのだろう、仕事帰りのある日、男に襲われたのだ。そんなこと、誰にも言えなかったのだがこうなるとごまかすことが出来ない。
泣きそうだった。彼女には婚約者もいたのに。
「気にするな。お前は悪くない」
今まで隠していたことを正直に打ち明けると、婚約者は彼女を抱きしめた。
「子供には罪はない。血が繋がっていなくても、俺の子供だ」
その言葉に、彼女は涙があふれた。
そうして生まれたのは、白と黒の髪の男の子だった。その子は怜と名付けられた。
……子供に罪はないって分かっているけれど……。
どうしても、つらかった。この子の妹が生まれてからはなおのこと苦しかった。
「お母さん……」
いつしか、レイに話しかけられても妹の方を優先するようになってしまった。テストで満点を取ってもいろんな検定で合格しても、彼に興味がなかった。
レイは必要以上に両親に話しかけることがなくなった。友達を連れてくることもなく、図書館で時間をつぶすことが多かった。
ある時から、レイがご機嫌で帰ってくるようになった。妹はどうしたのだろうと後ろからついていくと、図書館で茶髪の少女と話しているところを見かけた。
「……そういえば、名前言ってなかったよね。俺はレイって言うんだ。君は?」
「私ですか?私はスズエと言います。こう見えて、研究者の娘なんです」
「なるほど。だから頭いいんだね」
その二人の仲の良さに、妹は少しばかりの嫉妬を抱いた。
それから十年が経つか経たないかの時だった、レイがスズエを実家に連れてきたのは。
友人とルームシェアすると家を出て行ったきり帰ってこなかった兄から報告があるからと聞いた時はどうしたのだろうと思っていたが、スズエの姿を見た時分かった。
あぁ、あの子と付き合ったんだなと。
妹として、兄が結婚するのは寂しいけれど。スズエになら兄を任せられると妹は笑った。




