お出かけ レイ編
レイさん編です。
私の中では一番嫉妬深い人だと思っている。が、それぐらいがちょうどいいかもしれない。
レイから迎えに行くから待ってて、と連絡があり、スズエは校門の前に立っていた。
「スズエ、待たせちゃったね」
「いえ、大丈夫ですよ」
まさかのイケメンの登場に、ユミの時と同じように周囲が騒ぎ出す。
「え、彼氏?」
「マジ……?」
もちろんスズエは気付いていない。レイがスズエの手を握り、
「一緒に水族館行こう」
「あ、いいですね。夜の水族館は行ったことなかったんです」
明らかに恋人のような雰囲気をまとっていて、近付く人はいなかった。
夜の水族館は思った以上にきれいだった。
「わぁ……!すごい……!」
「いいよね、夜の方がきれいなんだって」
一緒に回っていると、ひそひそとこちらを見て何か言っている人がいることに気付く。
「どうしたんでしょう?」
「気にしなくていいと思うよ」
レイはスズエを隠すように立つ。
「あの二人、恋人?」
「お似合いねぇ!」
そんな会話がされていたことをスズエのみが知らない。
「ご飯食べる?」
「そうですね、家で食べるには遅いですし」
思いのほか時間が経っていて、二人は近くのファミレスに入る。
「何食べる?」
「うーん……チキン南蛮にしようかな……?」
「俺はハンバーグにしようかな」
注文した後、話していると料理が来る。そのあと、デザートも頼んで一緒に食べた。
冷えていたわずかな苦さは、温かい甘さに溶けていった。




