お出かけ タカシ編
タカシ編です。
この子は相変わらず警戒心がないですね。代わりに兄貴達が警戒態勢ですが。
「タカシさん。すみません、遅れました」
スズエが走ってくると、「大丈夫だ、もう少し遅くてもよかったんだぞ」と笑いかけてくれた。
「いえ、待たせているので」
「本当に律儀だなぁ。どこ行きたい?」
歩き始めながら、タカシは尋ねる。「うーん……甘いもの食べたい」とスズエは目を輝かせた。
「おう、じゃあ行くか!」
どこかいいかと探しながら歩いていると、小さな手を握られた。見ると、スズエが見上げていた。
「た、タカシさん。はぐれそうになるので手をつなぎません?」
(なんだこの可愛い生き物は……)
そう思いながら「いいぜ」と手を握った。
ケーキ屋に入ると、スズエは「どれにしよー……」とショーケースの中をジッと見ていた。かなり悩んで、ショートケーキにしたようだ。
「ショートケーキとレアチーズケーキを一つずつ。それからコーヒーと紅茶で」
「かしこまりました」
タカシが注文し、来るまでの間スズエと話す。
「この後何するんだ?」
「家に帰ったら仕事ですかね……」
「そうか。なんか手伝うぞ?」
「いいんですか?それじゃ重いものを運ばないといけなかったので……」
仕事の話をしていると、頼んだものが来た。
「んー!おいしいです!」
「よかったな」
幸せそうなスズエを見てほのぼのしていると、口の前に一口分のケーキが差し出された。
「食べます?」
(いやいやいや!?こいつ警戒心なさすぎだろ!?)
内心焦りながら「も、もらうぜ……」と食べる。……おいしい。おいしいのだが。
「スズエ、それあんまやらねぇ方がいいからな……」
タカシの忠告に疑問符を浮かべながら「分かりました……?」と頷いた。
甘く温かな味が、とてつもなくおいしかった。




