お出かけ ケイ編
ケイさん編です。
正直彼は女性慣れしてそう……。
「スズちゃーん、ごめんねー」
スマホを触っていたスズエにケイが声をかける。
「大丈夫ですよ。ケイさんもお忙しい身なんですから」
「本当に優しいなー、所長さんはー」
こっちだよー、とケイは慣れた手つきでエスコートする。
一緒に食事に行こうと連れてこられた場所は高級レストランだった。
「え、いやここ、恋人と来た方がいいんじゃ……?」
「恋人はいないよー」
「でも、さすがにこんな高いところ……」
「気にしない気にしない」
いつも通りの飄々としているケイに、スズエは「分かりました……」と納得していない表情を浮かべる。
「たまには贅沢もいいでしょー?」
「うー……まぁ、本当にたまになら、ですね……」
スズエが頼んだのはパスタ。それを食べてみると、
「……っ!?おいしい……!」
「でしょー?ここ、国のお偉いさんも来るんだってさー」
そりゃ高いわけだ……とスズエは納得してしまう。
「でも、今度は恋人とここに来たいねー」
「本当にそうしてあげてください……」
苦笑いを浮かべられ、ケイは「うん、そうするよー」と笑った。
(本当にこの子は鈍感なんだから……)
でも、それがこの子のいいところだと思いながら食後のデザートを食べた。
酸っぱい味わいに、甘いクリームがよく合っていた。




