お出かけ シンヤ編
シンヤ編です。
ここから恋愛的な意味も込めています。
「よ、スズエ」
駅前で待っていると、シンヤが声をかけた。シンヤの方が勉強で少し遅れると連絡が来ていたのだ。
「悪い、待たせてしまったな」
「大丈夫だ、そこまで待ってない」
スズエが笑うと、「それにしては冷たい気がするが」と手を握った。
「ちょ、そ、そんなに待ってないって」
「フフッ。近くのカフェで温まるか」
ユウヤと同じ顔で微笑まれ、スズエは「うー……」とうなる。
カフェに入ると、「なぁ、ここ教えてくれないか?」と参考書を見せてきた。
「あぁ、これな」
スズエが教えていくと、シンヤがニコニコしていた。
「……どうした?」
「いや?……ただ、こうやって見ると恋人みたいだよなって思ってな」
こい、びと……?と頭の中で処理していく。理解すると、一気にボンッ!と顔が赤くなった。
「な、なな何言ってるんだ!?」
「いいじゃんか。可愛いなぁ」
シンヤがスズエの頬をツンツンとつつく。「ほ、ほだされないからな」とむくれながらもスズエはコーヒーを飲んだ。
(……実際、好きなんだけどなぁ)
おそらく冗談にしか聞こえないのだろうとシンヤも同じようにカフェオレを飲む。
甘いような、苦いような、そんな味がした。




