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唯一認められた才能
ユキナとスズエが会話しているだけ。
本当に、家族で仲良くしている世界線もあるはずなんだ……。
ユキナが画用紙を渡して、「絵を描いて」と笑った。
「こんなところで描きたがる人いませんよ」
「まぁまぁ」
「……まぁ、いいですけど」
スズエは苦笑いを浮かべながらそれを受け取る。
少しして、描き終えるとユキナが覗き込んだ。
「綺麗だね……」
「あの両親に唯一認められた才能ですからね」
自嘲気味に笑うスズエに、ユキナはその背を撫でる。
「……もしかしたら、違う未来があったのかもしれないね」
「そう、かな……」
「うん。だって、ここは「可能性の世界」なんだから」
ユキナの瞳には、何が映っていたのだろうか。スズエには、分からなかった。




