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帰るまで油断は出来ない
家に帰るまでが遠足ですってよく言われるだろ?
まさにそう。
「さて、そろそろ帰りますか」
エレンの言葉に「そうだね」とレイも笑った。
車に戻ろうとすると、買うものがあるからと少し離れていたスズエに絡んで来る男性が出てきた。
「あの、そろそろ帰るので……」
「いいじゃんか。遊ぼうぜ?」
「ほかの人を当たってください」
「つれないなー」
スズエが冷たくあしらっているのに男性は気にした様子もなくニヤニヤと笑っていた。めんどくさいなー、と思っていると。
「ごめんね、この子ボクの連れなんだ」
ユウヤがスズエの肩を抱き、男性を睨んだ。すると舌打ちをして去っていく。
「ありがとうございます、ユウヤさん」
「これぐらいいいよ。それより荷物持とうか?」
さすがスズエ狂信者だなぁ、と思いながら二人を見ていた。