もしもデスゲーム前にみんなが会っていたら その四
はい、無理やり完結させました。
これ以上書くと長くなりそうだったので(汗)
明日からまた短編を投稿していきます。
孝と話していると、スーツを着た男性が通った。
「あ、レントさん」
「あ、スズエさん。こんにちは」
「こんにちは。珍しいですね、こんな時間に」
「あ、あはは……ちょっと遅めの昼休憩にね……」
「そうなんですね。あ、いいパン屋知ってますよ」
どれだけ顔が広いのだろうか、と思いながらその様子を見ている。……エレンの顔が恐ろしいものになっているが、気にしてはダメだ、うん。
「その先にあるんですけど、そこの女性がとてもいい人で。最近は彼氏さんもたまに見かけるようになりましたね」
「そうなんだ。ありがとう」
レントがお礼を言ってその場を去った。
「スズエ、一体どれぐらい顔が広いんですか?」
「おじいちゃんのコネとか、いろいろ」
「なるほど……」
それじゃすまない気がするが。
「そういや、時間はいいのか?」
タカシに聞かれ、ハッと時計を見る。もう三時だ。レントは一体どこまでブラックな会社に勤めているのだろうか……。
「では、また!」
「おう」
タカシと別れ、スズエ達は家に帰る。
「レイさんは帰らなくていいんですか?」
六時ごろ、スズエが尋ねると「まぁ、どうせ家にいても勉強しかすることないからね」と答える。ランも父親が帰ってこないためしばらく泊まっていくようだ。
「きょうだいが増えたみたいで楽しいな」
「そうだな、シルヤ」
ふとテレビを見ると、二人組の歌手が出ていた。最近かなり話題になっていると記憶している。
「あ、たまには一緒に風呂入るか?スズ姉」
「いいな」
「「「やめなさい」」」
……この双子、突拍子もないことを言い出して……。しかも本気で言っていそうだから怖い。
「いいじゃないですか?」
「エレンさん、一応スズエさん女の子ですよ」
このきょうだい、本気だ。
「……きょうだいで入ってきなよ……」
さすがにその中に入るのは忍びない。だから三人で入ってきてくれ、頼むから。あとスズエ、君はもう少し危機感を持って。
でも、こういう日常もいいかもしれない。レイはうっすらとそう思った。