もしもデスゲーム前にみんなが会っていたら その二
続きです。
今回はケイ、ユミが出てきます。
「兄さん、これおいしいね」
スズエが小さく笑いながら兄に告げると、「一応、料理人を目指していますからね」と微笑まれた。
「スズエさん、こっちもおいしいよ」
ユウヤも餌付けするようにスプーンを差し出す。自分が使ったものではなく別のスプーンを使っているのはさすがとしか言いようがない。
「本当に仲いいね」
レイが笑うと、「まぁ、親は帰ってきませんから」とあっけらかんと答えた。
「え?」
「あれ?言ってませんでした?親は研究所に泊まり込んで全然帰ってこないんですよ」
「まぁ、だからボク達はこっちに戻ってきたんだけど」
何かおかしなことでも?と言いたげなスズエにレイは胸が締め付けられた。
――俺の親でも、ちゃんと帰ってくるのに。
それに話を聞いている限りだと、その前はずっと一人でここにいたというようにも聞こえる。そりゃあ、すぐに戻ってこようと思うだろう。
食器も洗い、九時過ぎ。レイと話していると、
「あっ!どうしよ、ペン買いに行くの忘れてた!」
スズエが慌てたように立ち上がる。
「一緒に行こう、スズエさん」
「うん、ごめんね、アイト」
コンビニまで走ろうと準備しているスズエに愛斗が声をかける。
そして暗い道を歩いていると、警察署の前を通った。
「あ、スズちゃん。こんばんは」
「ケイさん、こんばんは。お疲れ様です」
「今日はどうしたのかなー?」
「ちょっとペンを買うの忘れてて。今からコンビニまで走るところです」
「そっか。気を付けてね。そこの子もちゃんと守ってあげるんだよー」
そんな会話をした後、コンビニに着くとオレンジの髪の女性の声が聞こえてきた。
「いらっしゃいませー。……ってスズエじゃん」
「ユミさん、今日もバイトですか?」
「うん。お母さんも病院に入院できたから安心して出来るんだ。アトーンメントのおかげだね」
「あー、現代の義賊だっていう……」
話しながら、スズエはペンを、アイトは夜食になりそうなものをかごに入れていく。
「スズエさんも好きなの買いなよ」
「え、おごってくれるの?」
「たまにはね」
「じゃあ、これ。あとこれかな?」
「これもおいしかったよ」
「あ、じゃあそれも」
かごに入れていき、気付けばかなり入っていた。
「ユミさんもたまには一緒に遊びましょう」
「あ、いいね。じゃあ今度遊ぼう」
そんな約束を取り付け、家に帰っていった。