もしもデスゲーム前にみんなが会っていたら その一
長くなりそうだったので何回かに分けて書きます。
デスゲーム前に会っていたらそりゃあ開催されないわな……。
ちなみに今回出てくるのは森岡きょうだい、ラン、レイ、祈花兄弟、アイトです。
「スズ、一緒に帰ろうぜ!」
「ん、そうだな」
部活もないため帰る準備をしていると、シルヤが声をかけてきた。
中学生ともなると、恋愛ごとに興味を持つ人の方が多くなってくるわけで周囲から「恋人じゃねぇの?あれで?」「いっそ付き合えばいいのに」などと言われているが、そんなこと気にせず二人は一緒に帰る。
その途中でほかの中学校に通っている白い髪の男子が見えた。
「お、ランじゃんか!」
「ん?あぁ、シルヤにスズエ」
彼は小学校の他学校とのレクリエーションで会った。その時、一人ですみに座っていたため話しかけると、友人がいないと言っていた。それからというもの、会うたびに絡んでいる。
「どうだ?今日は泊まっていくか?」
「そうだな……どうせ親父、帰ってこないだろうしな」
ランは父子家庭だが、父親がまぁ最低な男でいつしかよく森岡家に泊まりに来る住人と化していた。
「あ、ちょっと図書館寄っていい?読みたい本があって」
「あぁ、構わないぜ」
そうして図書館によると、白と黒の髪の高校生が座っていた。
「あ、レイさん。こんにちは」
「あ、こんにちは、スズエ」
「知り合いか?」
親しく話しているスズエを見て、シルヤが尋ねる。
「うん。よく図書館で話しているんだ」
「そっちの子、友達?」
「はい。今日は本を借りに来たんです」
そう言うと、レイは時計を見て「あ、もうこんな時間なんだ」と立ち上がる。
「どんな本?また研究書?」
「そんなところです。学校の図書室にはないので」
「なぁなぁ、レイさん、だっけ?泊まりに来なよ!」
シルヤの突然の提案にレイは驚いた表情を浮かべる。
「い、いやいや。さすがに急には……というよりいろいろアウトだし」
「大丈夫っすよ!オレ達も泊まるんで!」
ズイズイ来るシルヤにレイは折れてしまう。
「……そうだね、それだったら行こうかな。ちょっと着替えとか買ってくるよ」
「あ、じゃあ家で研究資料について話しましょう!」
スズエの笑顔を見て、レイは温かくなりながら「うん、そうしようか」と一度図書館から出た。
本を借り、外に出ると走っていったのかレイが息を切らしながら戻ってくる。
「えへへ……兄さんがもう一人出来たみたいだ」
「ん?どういうこと?」
「あー……弟なんです、シルヤは」
スズエの発言にランも目を丸くした。
「え、苗字違うよな?」
「まぁ、いろいろあったんだよ……将来的には戻す」
ため息をつきながら、森岡家に帰ってくる。鍵は開いているためそのまま入ると、
「おかえりなさい、スズエ」
黒髪の男性が出迎えてくれた。高校の制服を着ている彼はエレン。スズエ達の実兄だ。
そして後ろからヒョコッと顔を出しているのはシンヤ、ユウヤ、アイト。もともと別のところに住んでいたが、中学に入学する前にこっちに来たのだ。
「おや、今日はお客人が多いですね」
「うん。こっちはレイさんだよ、兄さん。よく図書館で一緒に話しているんだ」
紹介しながら、家の中に入る。レイは初めて見るお屋敷に驚きながらついていった。
「す、スズエっていいところのお嬢様なんだね……」
そう呟くと、「スズエさんは研究者の孫娘で、ボク達が仕える巫女の家系ですからね」と後ろからユウヤに声をかけられた。
「そうなんだ?巫女の家系って言うのは初めて聞いたよ」
「ボク達も最近、こっちに来ましたからね」
「ご飯はもう出来ていますよ。食べましょうか」
二人で話しているとエレンに呼ばれ、リビングまで向かった。