ラン編で入れるか悩んだネタ
スズエはパソコンで何かをしていた。
「おい、そろそろ休めよ。そんなんじゃ身体壊すぜ?」
タカシさんにそう言われるけど、スズエは「いえ、ここまでやんないと……」とにらみ合っていた。
「そんなやって、何してんだよ?」
「ん……遺書書いてる」
その言葉に、みんなが一斉にスズエの方を見た。
「じょ、冗談ですって。まさかそんな驚かれるとは……」
慌てて弁明するけど、正直こいつはそれに関してはあまり信用がない。つまるところこいつならマジでやっていてもおかしくないのだ。
しばらく悩んでいたスズエだったが、不意にため息をつき、
「……脱出経路を確保しようとしていたんですよ」
とパソコンの画面を見せてくれた。確かに地図が映し出されている。
「もう少しで解けそうなんですけど……なかなかうまくいかなくて」
「……ねぇ、スズエ。これはこうじゃない?」
レイさんが指さすと、スズエは「あ、なるほど」と納得した声を出した。この二人は案外いいコンビなんだよなぁ。頭脳的な意味で。
でも、オレは知っている。どんなに脱出経路を見つけても、スズエは出ることが出来ないんだと。それはスズエも知っているはずだ。
一瞬、花に包まれたスズエが見えた気がした。
「どうした?ラン」
スズエがオレの顔を覗き込む。それにドキッとした。
見透かされている。
なぜか、そう感じた。考えすぎかもしれないけど、スズエは何でも分かっている節がある。
「……安心しろ」
スズエはパソコンの画面を見ながら、オレの頭を撫でる。
「「さようなら」は、ひどい顔で言ってやらないから」
それがどういう意味なのか、その時のオレには理解出来なかった。