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ナコの誕生日
ナコちゃんの誕生日です。
彼女にはスズエや兄にたくさん甘えてて欲しい。
「ナコ、どこか出かけるか?」
スズエに聞かれ、ナコは目を丸くする。
「今日も仕事じゃ……?」
「んー、ユウヤさん達には言ったから大丈夫。昨日のうちに終わらせたし」
「でも……」
「……タカシさんも一緒だよ」
兄も?とますます分からなくなる。何かあっただろうか?
「ナコ、今日お前の誕生日だろ」
タカシが苦笑いを浮かべながら告げると、「あ……」とようやく思い出す。
「今日は好きなもの買っていいし、どこでも連れていってやるぞ。お兄さんが」
「俺かよ」
「半分は冗談ですって」
そんな夫婦漫才のようなことをする二人にナコは笑って抱き着いた。
「……いろんなところ行きたいの」
「あぁ、いいぜ。スズエ、運転してくれよ」
「はいはい。分かりました」
ほら、乗ってとスズエは促す。ナコはそれに従って後部座席に座った。
今日はいろんなところに連れて行ってもらおうと思いながら。