卒業式(レイ編)
そういえば卒業シーズンだったなぁと思って書きました。
明日は高校生組の卒業式を書けたらいいなぁ……。
スズエ争奪戦はそのあと投稿します。
東大での卒業式も終え、レイは教室を出る。結局、両親は来ていなかったなと思いながら。
「よう!レイ、首席で卒業おめでとう!」
「アハハ……ありがとう」
友人に捕まり、レイは苦笑いを浮かべる。
二人で話しながら外に出ると、周囲がざわついていることに気付いた。
「ねぇ、あの子、美人じゃない?」
「スーツ……別の大学の子?」
「誰かの恋人かな?」
「話しかけてみようぜ。なぁなぁ、君どうしたの?」
「……ちょっと待ち人がいるので」
「やっぱ、恋人いんのかー!」
レイが見ると、校門の前に見覚えのある茶髪が見えた。珍しくスーツを着ている彼女はレイを見て、手を振った。
「レイさん」
「スズエ、来てくれたんだ」
「はい、卒業おめでとうございます」
「うん、ありがとう」
「スーツも似合っていると思ってましたけど、それもいいですね」
レイが駆け寄ると、周囲から黄色い声が聞こえてくる。そんなことも気にせず話していると後ろから友人が来て、「お、その子、彼女?」と聞いてくる。
「あー、えっと……」
「ちょ、ちょっとここで話すのもなんですし、別のところに行きましょう」
途端に二人とも顔を赤くしてタジタジし出した。それを見て友人は笑いながら「そうだな」と言った。
ファミレスに入ると、「で、結局どうなの?」と友人がニヤニヤしながら聞いてきた。
「……か、彼女だよ……」
レイが小さい声で答えると、「お前、彼女いるなら教えてくれよ!」と背中を叩いた。
「めっちゃ可愛いじゃん。いつから付き合ってんの?」
「え、えっと……大体一年前……」
「ずりぃ!彼女なんていませんって顔してたじゃんか!」
「い、言う必要もないかなって思ってたし……」
「なぁ、レイのどこが好きになったの?」
友人がスズエに尋ねると、彼女は頬を染めながら考えて、
「その……優しいですし、趣味もあうし……全部好きなのでどこがって言われても……」
「めっちゃ惚れてんじゃん」
ニコニコしながら、友人は二人を見る。
(案外お似合いだなぁ)
そんなことを思いながら。