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スズエ争奪戦 その六
スズエちゃん、本当に愛されてるなぁ……。
「ハナさん、どこに行きます?」
「うーん……この季節なので、桜を描きましょう」
そう言って、ハナはスズエの手を引っ張った。その後ろをカナクニが追いかける。
桜のところにはすでにレントとユキナが立っていた。
「あれ?三人とも、どうしたんだい?」
「桜を描こうと思って。それにスズエさんも捕まったんですよ」
「スズエは忙しいもんね。ちゃんと休まないとダメだよ?」
「分かりました、気を付けるのでそんな近付かないでください」
ユキナが黒い笑顔を浮かべながらスズエに近付いてくる。もちろんスズエは冷や汗をかきながら後ずさりした。
「まぁまぁユキナ先生。落ち着いてください」
カナクニがそれを止め、一緒に桜を見る。
「……そういえば、ユキナさんの誕生花ってソメイヨシノでしたよね」
「そうなんだ」
「ユキナさんにピッタリですね」
そんな話をしていると、マミとミヒロがやってくる。
「おう、あたし達もいいか?」
「いいですよ、一緒にスズエさんを愛でましょう」
「なんですかその同好会」
そんな会話をしながら、咲き誇る桜を鑑賞していた。