ホワイトデー タカシバージョン
なんとか書けたものです(汗)
「あ、タカシさん」
「よう、スズエ」
仕事帰り、合流した二人は軽く出かけた。
「デートらしいデートは初めてか?」
タカシに聞かれ、「そういえばそうですね」とスズエは答える。
タカシは身体を鍛える傍らジムのトレーナーをし、スズエは研究所の所長で仕事が多い。いくら一緒に暮らしているとはいえ、なかなか時間がとれないのだ。
「もうすぐ試合じゃなかったですか?」
「まぁな。だから減量を頑張ってるぜ」
ボクサーには、減量時期というものがある。だから今のタカシはあまり食べないのだ。
「じゃあ、少し散歩したら帰りましょうか」
スズエもそれを知っているので食事に行こうとは言わず、そう提案した。
「いや、たまにはカフェに行こうぜ」
しかし、彼はそう言ってきたのだ。それにスズエは驚く。
「え、でもケーキとかは……」
「飲み物だけ頼めばいいって。せっかく時間を作ってくれたわけだしな」
タカシがいいのなら……とスズエは近くのカフェに寄る。
「えっと……紅茶とコーヒーを一つずつに……」
「このイチゴパフェを一つ」
「え、えっと別のものでも」
「俺がおごってやるって」
スズエが別のものを頼む前に、タカシが頼んでしまう。確かに、イチゴパフェは食べたかったが、高かったので今度一人で食べに来ようと思っていたのに。
「……タカシさんは私を甘えさせすぎです」
「お前はもう少し甘えろ」
うー……とうなりながら呟くスズエに、タカシは笑う。実際、この少女は甘えた方がいい。
イチゴパフェが届くと、スズエはそれを一口食べる。
「うまいか?」
タカシの質問にスズエは目を輝かせながらコクコクと頷く。それならよかったとタカシは微笑んだ。