ホワイトデー レイバージョン
ホワイトデーの話です。
作者が思いっきり体調崩したので一部の人しか書けてません……。
「スズエ、ちょっと出かけない?」
レイに声をかけられ、スズエは首を傾げながら「いいですけど」と答えた。
「よかった。ちょっと遠出するから車に乗って」
「分かりました」
そうして車に乗ると、レイが運転し始めた。
「どこに行くんですか?」
「ちょっとね」
ニコッと笑う彼にやはり首を傾げる。
着いた場所は海だった。誰の手も加わっていないのか、かなり澄んでいてきれいだった。
「おー、すごい……」
「前の出張の時に偶然見つけてね。絶対に連れていきたいって思っていたんだ」
ホワイトデーのお返しにしてはお粗末なものかもしれないけどね、と困ったように笑う彼を見て「いえ、うれしいですよ」とスズエは笑った。
「初めてのドライブですね」
「そうだね。……スズエ、これ」
レイに小さな箱を渡され、中身を見るとそこには月のネックレスが入っていた。
「おー……きれい……」
「お返し、何がいいかなって探してたらそれが目についてね。よかったら受け取ってよ」
「ありがとうございます、レイさん」
彼の身体に身を預け、スズエはネックレスと海を交互に見ていた。
まるで彼の瞳を見ているようだと思いながら。