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レントの誕生日
今日はレントさんの誕生日です。
自分の意見をなかなか言い出せませんが、周りが見ていてくれるんですよね。
「レントって、恋人いたことあるのー?」
ケイに聞かれ、レントは苦笑いを浮かべる。
「ま、まぁ、ノーコメントで……」
「えー、いいじゃんか。男同士なんだしさ」
ニヤニヤしながら言われ、「き、気にしなくていいよ……」と告げた。
「そういえば、今日誕生日なんだってねー。スズちゃんとエレンが張り切って料理作ろうとしていたよ」
「あはは……あの二人、本当にたくさん作るもんね……」
「リクエストするなら今のうちだと思うよー」
「特に食べたいものってないからね……」
そう言いつつ、任された仕事をしていた。
家に帰ると、「おかえりなさい」とスズエが出迎えてくれた。
「今日、誕生日ですよね?」
「そ、そうだよ……」
話しながら一緒にリビングまで向かうと、机の上にはレントの好物が並んでいた。
「……スズエさんとエレンさんって、私の好きなもの知っていたっけ?」
「まぁ、見ていますからね」
フフッと笑う二人に、レントはようやく笑った。