桜を見に行こう
森岡きょうだいがわちゃわちゃしているだけ。
あんまりきょうだいで過ごす時間がなかったんだよな……。
ようやく目的地に着いた一行は、駐車場にキャンピングカーを停める。
「ここでキャンプですね」
「うん、全員で眠れるように大きめのものにしたからね」
伸びをするエレンとスズエにシルヤが「なぁなぁ、早く見に行こうぜ!」と急かした。
「はいはい、行こうか」
「そうですね」
二人が降りると、シルヤが手を引いて「こっちこっち!」とはしゃぐ。この弟は本当に元気なんだから……と兄姉で笑っていると、桜の下に来た。
「おー、ちょうど満開だったか」
「そうだぜ、きれいだよな」
「そうですね。……きょうだいで見に行くのは初めてですね」
エレンが感慨深く呟く。
森岡きょうだいはもともと、七守家と憶知家にそれぞれエレンとシルヤが引き取られていた。だから幼い頃はきょうだいの時間というものを取ることが出来なかった。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん!」
そこに、アカリも引っ付いてくる。
「わたしも混ぜてよー!」
「フフッ、おいで」
アカリも入り、四人で桜を見ていた。
「おーい、そこ」
「ん?どうしたっすか?ユウヤさん」
「写真撮るから、こっち見て」
その言葉に四人で振り返る。
その時の写真は、四人とも笑顔だったようだ。