約束
こんなことがあったらいいなという妄想です。
ナコと仲良くしているスズエが書きたかった……。
「ねぇ、スズエ先輩……」
ナコが声をかけると、スズエは振り返る。
「どうした?」
「その……疲れないの?」
スズエはほぼ一睡もせずにずっと探索している。単純に疲れないのか気になったのだ。
「……寝ても悪夢を見るだけだからね。それなら探索していた方が有意義だろ」
返ってきた答えはそれだった。
「ナコは?寝た方がいいんじゃないか?」
「……寝たくないから」
「……そっか。それならいいけど」
それ以上は何も言わず、スズエはパソコンを触っていた。しかし不意に、
「……なぁ、ナコ」
「どうしたの?」
「ここから出たらさ、一緒に水族館に行かないか?」
その提案にナコは驚く。
「……あたし、人形なんだよ?一緒に行っても……」
「人形とか関係ない。私がナコと行きたいって思ったから誘ったんだ」
そう言われ、ナコはスズエの方を見る。彼女は優しく笑っていた。
「安心してよ、お金はちゃんとお姉さんが出してあげるからさ」
「……本当にいいの?」
「もちろん。約束だよ」
「……うん。約束」
そう言って、二人で約束した。
「……スズエさん、なんで急に水族館なんかに?」
ナコが目を丸くする。スズエが「んー?約束したからね」と微笑んだ。
一度は果たせなかった約束。彼女は覚えていないけれど、それで生きる理由を見出した。
「スズエさーん、こっちこっちー!」
「キナ、ダメだぞ、騒いだら」
これからもこうやって、生きる理由を見つけ出していこう。
そう、心に誓いながらナコの手を優しく握ってキナのところに向かった。