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ユミの誕生日
今日はユミさんの誕生日です。
スズエを自由に連れまわせる、実に学生らしい誕生日プレゼントをもらっています。
「あ、ユミさん」
「スズエ?珍しいね、迎えに来てくれるなんて」
大学から出ると、スズエが校門前で立っていた。
「たまにはいいじゃないですか」
「そうだけど……」
「あ、ちょっと寄り道しません?」
そう言いながら、スズエはユミを連れまわす。彼女が珍しいと思いながら一緒に歩いていると、自分の好きなところばかり行っていることに気付いた。
「スズエ、なんか私が好きな場所ばっかり行ってるけど……」
「んー?だって、今日ユミさんの誕生日じゃないですか。このために昨日、今日の分まで仕事を終わらせてきたんですよ?」
その言葉にようやく思い出す。そして笑った。
「じゃあ、夜まで私が行きたい場所に連れまわすから」
「いいですよ、今日はフリーです」
スズエの粋な誕生日プレゼントをありがたく受け取ろうと誓いながら。