バレンタイン ランバージョン
ラスト、ランバージョンです。
本命その二。なんやかんやあって彼が本編の正式カップル(?)になりました。
「ラン、ちょうど下校時間だったんだな」
「スズエ。あぁ、そうだな」
下校途中、偶然ランと合流する。シルヤはサチと一緒にどこかに出かけてしまった。恐らくデートだろう。
「二人で帰るのは久しぶりだな」
「フフッ、確かに」
周囲の生徒達が何か騒ぎ出したが、スズエには聞こえてこない。
「え、ラン……他校の女の子と知り合いなのか?」
「てか付き合ってんのか?」
「意外……秋原君、狙ってたのに」
ランの耳にはそんな会話が聞こえていたが、気にしないことにした。
生徒がいないところまで話していると、スズエが「そういえば」と顔をそらしながら紙袋を渡す。
「スズエ?なんだこの紙袋。てかなんて急に顔そらしたんだよ?」
「き、気にするな」
急に挙動不審になったスズエに首を傾げながらランが紙袋の中を見る。そこには小さな箱が二つ入っていた。そのうちの一つを開けると、チョコケーキが入っていた。
「……あぁ、そういや今日バレンタインだったな」
「い、いらないなら返せ。自分で食べる」
「いや、もらうよ。ありがとう」
それを戻してスズエの手を握る。
「ら、ラン?」
「んー?はぐれないようにな」
「子供じゃないんだけど……」
「まぁまぁ」
ニコッと笑って、ランが「早く帰ろうか」と言うとスズエもコクッと頷く。
ランもかすかに耳を赤くして、お返しは何がいいだろうと思いながら。