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バレンタイン ユウヤバージョン
ユウヤバージョンです。
本命その一。何度か言っているけど、本来なら彼と結ばれるハズだった……。
「ユウヤさん!」
「スズエさん、おかえり」
ユウヤが渋谷駅のところに立っていると、スズエが学校から戻ってきた。
「スズエさんからお迎えを所望するのは珍しいね」
歩きながら、ユウヤが微笑む。
そう、スズエから連絡が来たのだ。どうしたのだろうと思いながらここに来た。
「ほ、ほら、今日はば、バレンタインじゃないですか」
「うん?まぁ、そうだね」
ユウヤも、今日は女性社員からチョコをたくさん渡されたが、すべて断ったのだ。
「だ、だから、その……これ、下手ですけど……」
スズエが紙袋を渡す。まさか所長から個別に渡されると思っていなかったユウヤは驚いた表情を浮かべた。
「いいの?」
「は、はい」
「ありがとう、うれしいよ」
これを見られたら社員にはやじられるかもしれないが、スズエが自分のことを思いながら作ってくれたのならそれでもいいやとユウヤは彼女の手を握った。
「ゆ、ユウヤさん?」
「あったかいね」
その言葉に、スズエは顔を赤くしながら握り返した。